「就労条件総合調査」のデータから建設業の“働きやすさ”を評価する:建設業の人材動向レポート(30)(2/2 ページ)
本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポート。今回は、建設業の労働環境について、完全週休2日制の導入や年次有給休暇の取得状況、フレックスタイム制の採用などの各種データから分析している。
■建設業で“フレックス制”を採用している企業割合は1.1%
フレックスタイム制※を採用している企業割合の推移を見ると、「建設業」は2020年において1.1%となり、比較した6業種の中では最低だった(図表3)。最も割合が高かったのは「情報通信業」の30.0%であり、次いで「金融業・保険業」の14.4%、「製造業」の7.3%となっている。時系列で見ても、「建設業」は2009年の2.6%から1.5ポイント低下しており、フレックス制の導入が進んでいないことが分かる。
※ フレックスタイム制:労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることによって、生活と業務との調和を図りながら効率的に働くことができる制度
■まとめ
働きやすい産業であるかどうかを決める指標として、「完全週休2日制採用企業割合」「年次有給休暇の取得日数」「フレックスタイム制の採用企業割合」について見ると、建設業での完全週休2日制採用企業割合は30.4%(製造業44.2%)、年次有給休暇の取得数は8.0日(製造業11.9日)、フレックスタイム制の採用企業割合は1.1%(製造業7.3%)となり、いずれも製造業を下回り、働きやすさという点では建設業は製造業よりも劣り、全産業の中でも低位にあることが判明した。今後、これらの指標を改善してより働きやすい産業にすることは、建設業にとって重要な課題になると考えられる。
著者Profile
ヒューマンタッチ総研(所長:高本和幸)
ヒューマンタッチ総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。
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