ケイミューが耐候性が40年続く厚さ18ミリの窯業系サイディング材を開発:新建材
外装建材メーカーのケイミューは、耐候性が40年継続し、接触から6時間で99.9%以上の新型コロナウイルスを不活化する厚さ18ミリの窯業系サイディング材「光セラ18」を開発した。
外装建材メーカーのケイミューは2021年2月25日、オンラインで、2021年3月1日に発売する窯業(ようぎょう)系サイディング材「光セラ18」の記者発表会を開いた。窯業系サイディング材とはセメントと木質系成分を混合して製造される人工の外壁材を指す。
会場では、ケイミュー 代表取締役社長 木村均氏が、「光セラ18」の開発経緯や特徴について紹介した。
厚さ18ミリで重厚感と高級感を演出
ケイミューは、クボタと松下電工(現在の社名:パナソニック)の住宅外装部門が事業統合し、2003年にクボタ松下電工外装として設立した会社で、2010年の社名変更により、現在の社名となった。社員数は2020年6月1日時点で1920人。主要事業は、屋根材と外壁材の製造販売と雨といの販売。
本社は大阪市中央区に位置し、国内生産拠点は、滋賀工場、堺工場、北九州工場、足利工場、鹿島工場、小田原工場、伊賀事業所の7拠点。海外の事業拠点は米国と露国の2箇所に設けている。また、インドネシアの現地企業とアライアンス契約を結び、現在屋根材の技術供与を行っており、将来的にはインドネシアを拠点に屋根材をASEAN諸国に展開する予定だ。
今回上市する光セラ18は、松下電工の住宅外装部門が2002年に発売した窯業系サイディング材「光セラ」を改良したもの。光セラは、表面に無機系樹脂と無機系紫外線吸収剤を組み合わせたセラミックコートと光触媒をコーティングしている。
光セラの表面にコーディングされた光触媒は、太陽光を受けると、表面に付いた汚れを分解し、汚れの付着力を弱める他、光触媒の分解力が、大気中に含まれる排気ガスの有害汚染物質を無害化するため、環境に優しい。さらに、水になじみやすいため、雨水が光セラ表層の汚れを浮かして洗い流す。
セラミックコートの、紫外線による外壁材の色あせを防ぐ。ケイミューの木村氏は「住宅に取り付けてから10年以上経過した光セラでも、色あせが生じていないものもある。通常の窯業系サイディング材は、物件での使用から10年以内に色あせが表面に発生する」と機能を語った。
光セラ18について、木村氏は、「光セラ18は、外壁材市場のトレンドを上回るスペックを目指した。外壁市場における中高級品のトレンドは、厚みが16ミリで、耐候性が15〜30年続き、汚れ防止機能を搭載したものだ。しかし、当社では住宅市場に革命を起こしたく、厚みが18ミリで、耐候性が40年継続し、光触媒工業会から抗菌・抗ウイルス認証を取得した光セラ18を開発した」と述べた。
光セラ18は、厚みを18ミリにすることで、サイディング業界で標準となっている厚み16ミリミリの外壁材と比べて、深い凹凸の造形が強調され、表情豊かな陰影が生じ、重厚感と高級感が増している。
また、従来の光セラが備えていた光触媒コートとセラミックコートに加え、紫外線による色あせを防止する「高耐候性コート」を搭載し、耐候性の有効期間40年を実現した。
光セラ18の新型コロナウイルス感染症への効果について、木村氏は、「当社は、光セラ18の新型コロナウイルス感染症に対する性能を確かめるために、奈良県立医科大学とMBTコンソーシアムと共同で、実証実験を行った。実験では、光セラ18で用いている光触媒コーティングによる新型コロナウイルスの不活化を調べた。結果、光触媒の抗ウイルス効果により、接触から6時間で99.9%以上の新型コロナウイルスを不活化することが判明した」と明らかにした。
光セラ18の価格は、厚み16ミリの「光セラ16」と同額を予定している。
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