AIがスマホの写真から“外壁仕上げ材”11種を自動で判定、ジャストが無料サービス開始
建設業界のさまざまな課題をAIによる解決を目指しているジャストは、スマートフォンなどで撮影した画像から外壁材の種類を判別する無料サービスを開始した。
ジャストは、撮影した写真から外壁の種類を教えてくれる無料AIサービス「外壁の仕上材判定AI」のWeb版とiOS・アンドロイドアプリ版をリリースした。
11種類の外壁の仕上材をAIが自動で判定
このサービスでは、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した外壁の画像をアップロードすると、AIが仕上材の種類を自動で判別する。対応している外壁は11種類で、ALC板、ガラスカーテンウォール、ガラスブロック、コンクリートブロック、コンクリート打ち放し、金属系外装材、スレート波板張り、タイル張り、吹付タイル、押出成形セメント板、石張り。
機械学習のフレームワークには、実績あるGoogle製フレームワーク「TensorFlow」、それをバックエンドとする「Keras」を利用。これらのフレームワークにより、迅速な反復開発が可能となった。開発言語は、機械学習の世界で標準的となっている「Python3」を使用している。
また、ImageNetと呼ばれる極めて大規模な画像分類データセットで学習した「VGG16(オックスフォード大学のVGG研究チームが開発した全16層のニューラルネットワーク)」をベースに、ある領域で学習させたモデルを別の領域に適応させる転移学習を行っている。VGG16の全結合層を取り除き、新たに壁面仕上げ(11種類)ああに適した全結合層をつなげたモデルを再構築した。
ジャストは、“人工知能で建築業界の未来を豊かにする”をビジョンとし、構造物に関わるデータをディープラーニング(機械学習)により付加価値に転換するサービス「J-Brain」を掲げている。今回の外壁の仕上材判定AIサービスは、J-Brainや建設業界に特化したAIを学習させるための教師データ作成サービス「J-Brain Annotaition」の実績積み上げや周知活動の一環だという。
今後については、「精度の向上やより多用な建築部材の学習の他、建築・土木構造物に関わるAIによる調査診断にチャレンジしていく」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- キヤノンが提案する豊富なカメラ・レンズ群を使った「AIひび割れ検知」と「ドローン点検」
キヤノンとキヤノンマーケティングジャパンは、一眼レフカメラを用いたAIによるひび割れ検知やドローン点検の開発に注力している。2018年7月18〜20日に東京ビッグサイトで開催された「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2018」内の「第10回インフラ検査・維持管理展」で、インフラ構造物の点検ソリューションを提案した。 - ジャストだからできる強み?建設に特化したAI学習用の教師データ作成サービス
ジャストは2019年1月30日、建設業界に特化したAIを学習させるディープラーニングに必要な教師データの作成サービス「J-Brain Annotaition」の提供を開始した。 - 橋梁の“AI点検”を開発・検証する拠点を富士フイルムが2019年3月長崎に開設、県や長崎大と協力
富士フイルムホールディングスは2019年3月1日、橋梁(きょうりょう)やトンネルなどのインフラ構造物の点検・診断業務を効率化する“次世代AI技術”の研究・開発拠点「Brain(s)九州」を長崎県長崎市に開設する。富士フイルムでは、AIを搭載した橋梁コンクリートのひび割れ診断サービス「ひびみっけ」を展開しており、新拠点では長崎県と長崎大学の協力の下、より高度なAIを共同で開発し、実証実験で検証しながら、社会実装を目指す。 - 竹中工務店がAIを育成、構造設計を70%効率化
竹中工務店は構造設計業務を効率化するAIシステムの開発に着手した。ベンチャー企業のHEROZと提携し、設計ノウハウを集約したデータから、実務に生かせるAIを育成していく。