凸版印刷が提案するIoT×建材の第2弾は、日常空間に溶け込む「壁材ディスプレイ」と「健康管理の床材」:住宅・ビル・施設Week 2018
凸版印刷は「第3回 高機能建材・住設EXPO」で、「トッパンIoT建材」や建装材の新製品などを披露した。IoT建材の第2弾では、壁材×ディスプレイと、床材×健康管理の新建材が初披露された。
凸版印刷は「第3回 高機能建材・住設EXPO」(「住宅・ビル・施設Week 2018」内、2018年12月12〜14日、東京ビッグサイト)で、建装材とIoT技術を組み合わせて、安全で快適な暮らしをサポートするトッパンIoT建材の新製品などを出展した。
生活空間に+αの機能を組み合わせたIoT建材
IoT建材は、初弾の凸版印刷が得意とする床材と圧力センサーが一体化した「ロケーションフロア」の他、今回が初披露となったディスプレイ機能を持つ壁材「インフォウォール」と、体組成計を組み込んだ床材「ステルスヘルスメーター」の3タイプを出品。
このうち、ロケーションフロアは、床材の最下層に位置検出デバイスを備え、その上に特殊衝撃吸収層と、特殊樹脂基材層(木粉含有プラスチック)。表面には特殊UVハードコート層を施し、厚さは12mm(ミリ)。一見して普通の木目調の床材との違いはなく、自然に生活者の見守りができる。
センサーは、踏まれた圧力で自己発電するため、居住者は普段通りに歩いているだけで、その位置情報がクラウドサーバにアップされる。一般的な床材と見た目が変わらないため、従来の監視カメラやむき出しのセンサーの様に圧迫感を感じることなく、トイレや浴室といった場所にも採用しやすい。トイレや浴室から何時間も出てこないなどの異常時にはアラートが発動し、遠方の家族が独居老人の生活習慣を確認することや単身者の孤独死を防ぐことにも活用できる。
また、自己発電のため、配線も不要で、通常の床材と同様の施工で完了し、短納期・低コストでの導入が可能だ。会場では、トイレを想定した室内に6枚のロケーションフロアを設置。来場者の入退場でON/OFFが表示されるモニターも置かれた。
初出展のインフォウォールは、主力建材の化粧シートとディスプレイを融合させ、壁に生活に役立つ情報を表示させるIoT建材。クラウド上から取得したタイムスケジュールや家族のメッセージ、天気などの文字情報を投影する。家庭内の新たな伝言板として、家族間のコミュニケーションツールとしての活用を見込む。
情報を壁材に表示する仕組みは、マトリックスLEDディスプレイが一番奥に埋め込まれ、アクリルパネルを通して、表面の化粧シート(101エコシート)に映し出される。101エコシートを採用しているため、豊富な壁柄ラインアップから、最適な室内空間に会う柄を選ぶことができるのも特長の一つ。
今後の展開としては、一般住宅以外にも、商業店舗などへの用途にも訴求していくという。
3つ目のステルスヘルスメーターは、体組成計を一体化させた床材。毎日、体重計の上に乗らなくても、日常生活の中で体重や体脂肪率などの健康管理が行える。測定した情報は、通信でスマートフォンやスマートミラーへ表示させることができる。
また、床材と同じ柄、同じ高さのため、デザイン性を損なうことがない。床材も、凸版印刷が開発した耐水性に優れた高意匠のもので、脱衣所やキッチンの床にも対応する。
ブースでは他に、不動産事業社や管理会社向けのリノベーションサービス「101リノベーションROLD(ロルド)」のパネル展示も行った。展示会を含め、対外的なこの事業の紹介は始めて。
ロルドは、内装デザインの設計から施工・アフターサービスまでワンストップで行う中古住宅を対象としたリノベーションサービス。今まで建装材事業で培ってきた“空間デザイン力”と、オリジナルの建装材ブランド「101シリーズ」をコラボさせたフルリノベーションで、空間のトータルコーディネートを提供する。これまでにも和室から洋間への全面作り替えなど、場合によっては他社製のキッチンや家具の調達も含め、トータルで内装の改修を手掛けている。
また、リノベ需要の高まりがある一方、職人の減少で2030年には1人あたりの担当物件数が1.5倍になってしまうことが想定される問題を受け、「簡易施工商材」の開発にも取り組んでいる。既存の浴室パネルやフロア材の上に、そのまま貼るだけで施工が完了する“増し貼り”に特化した建材で、作業工程や作業人員をそれほどかけずに、今までとそん色ないリノベーションが実現する。
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