スターツCAMが“鉄筋BIM”を自動加工機にダイレクト連携、1月から現場で運用:BIM
スターツCAMは、独自に運用するBIMのプラットフォーム「BIM-FM PLATFORM」で、鉄筋工事を対象に、BIMデータを鉄筋自動加工機械へダイレクトに連携する実証実験を完了し、新築建設現場への導入を開始した。
スターツCAMは2021年1月13日、BIMを基軸に設計・施工・維持管理までを一気通貫でデータ管理する「BIM-FM PLATFORM」の新しいソリューションとして、鉄筋工事で従来の設計図面を使わずに、BIMモデルから加工データを作成してダイレクトに加工機へ連携する技術を開発し、実際の工事に適用したと明らかにした。
鉄筋BIM連携で、加工労務や材料ロス2%を削減
BIM-FM PLATFORMは、「建物は全てデータになる」という発想のもと、建物の構成要素をデータ化し、設計から維持管理までをつなぐスターツCAM独自のBIMプラットフォーム。これまでに積算自動化や温熱環境シミュレーション、BIMモデルをベースにしたデザイン検討に用いるVRなど、BIMに関連する各種ソリューションを開発してきた。今回の鉄筋BIMモデルの連携もその一環で、BIMを中心にしたゼネコンとサブコンなど企業間の新しい体制構築にもつながり、その先にはBIM-EC(電子商取引)も見込んでいる。
従来、鉄筋工事は、2次元図面を基に積算・加工連携などを人力で行っており、ワークフローが合理化されていなかった。また、建設会社や鉄筋専門業者、鉄筋工職長がそれぞれに積算していることで起きる積算作業の重複、鉄筋職長が1本ずつ確認しながら鉄筋加工リストを作成する手間、加工リストに沿って加工機に手入力するヒューマンエラーといった諸問題が存在した。
解決のためにスターツCAMは、BIM-FM PLATFORMで、設計段階から鉄筋BIMモデルの一貫したデータ連携を行うこととした。データ連携により、建設会社、鉄筋専門業者、鉄筋工職長が一元化したBIMモデルを扱うことで、無駄な作業やミスの削減が期待される。
鉄筋BIMモデルの連携は、建設を担うスターツCAM、鋼材手配の岡谷鋼機、鉄筋専門業者のディビーエスと3社共同で、2020年1月から実案件に適用し、実証実験を行った。新築工事の2現場を対象に、構造計算データをBIM鉄筋モデルに変換し、鉄筋加工リストの作成までをスターツCAM主導で行った。
その結果、BIMから鉄筋加工リストを自動作成することで、鉄筋職長がリスト作成に費やしていた労務がゼロとなっただけでなく、鉄筋自動加工機械へのダイレクト連携で手入力の負担やヒューマンエラーの解消にもつながった。また、BIMを基軸に据えたワークフロー体制を構築したことで、データ作成・加工・組み立てまでの一気通貫での連携が実現し、3社合同会議での加工や施工時に顕在化した課題も早期に解決することができた。
さらに、コスト面では、加工機へのBIMのダイレクト連携で、材料を加工する際のロスが鉄筋総重量の2%減り、材料削減に伴う2次的効果として労務や運搬費の低減がもたらされた。
スターツCAMでは、今回の実証実験で得られたノウハウを活用し、2021年1月から随時、新築工事での導入を進める。その中で、BIMモデルのデータ改善とワークフロー最適化を進め、鉄筋材料の削減による環境負荷低減や労務不足問題の解消にを図っていくとしている。
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