NECソリューションイノベータが「Sigfox」とIoTで建機の稼働状況を見える化、鹿島道路へ提供:LPWA
NECソリューションイノベータは、鹿島道路が建機の稼働状況を知るため報告書を基に手作業で集計していた非効率な環境を解消するため、IoTやLPWA通信を組み合わせたシステムを開発した。
NECソリューションイノベータは2020年12月14日、鹿島道路に、建機の稼働状況を見える化するシステムを2020年10月に提供し、現場における生産性向上に貢献したと発表した。
建機にSigfoxの通信デバイスを搭載して自動収集
鹿島道路では、これまで日本全国に配置されている建機の稼働現場や稼働時間について、全国の各支店からの報告書を基に集計を行っていたため、タイムリーで正確な稼働状況を収集することができなかった。
そこでNECソリューションイノベータは、IoTやLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークなどのICTを活用して、建機の稼働情報と位置情報をセンサーで自動収集し、稼働状況を見える化するシステムを構築した。
建機の稼働状況や位置情報を自動収集して、一元管理することが可能になれば、建機の稼働に伴う損料を正確に算出し、工事代金に反映することや遊休建機を適正に配置して稼働率をアップさせられることなどが期待される。他にも、大規模災害発生時には建機を被災地に向かわせて、迅速な復旧対応に当たれるようにもなり、建機が万一盗難に遭った場合でも、いち早く状況を把握し、建機の所在が特定できる。
実用化したシステムでは、建機に設置する加速度センサーとGPSセンサーを備えたLPWA通信規格の一つ「Sigfox」の通信デバイスで、建機が稼働する際の振動から稼働状況を自動で検出し、GPSの位置情報と重ねることで、地図上で建機の位置や稼働状況を視覚的に確認する。また、稼働情報や位置情報は、CSVデータに出力して、別のシステムの地図上に展開することにも対応している。
使用する通信デバイスは、小型軽量(170×20×27ミリ)かつ電池駆動のため、建機に容易に装着することが可能だという。
今後、NECソリューションイノベータは、鹿島道路での設置拡大を進め、現場管理の効率化を支援していくだけでなく、2021年には、システムを建設業界へ幅広く提供することも予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Sigfoxが変える建設現場の維持管理(3):管理者不在の集合住宅で役立つ遠隔検針システム、漏水などの異常検知にも活用可能
本連載では、京セラコミュニケーションシステム LPWAソリューション事業部 LPWAソリューション部 LPWAソリューション1課の海野晃平氏が、Sigfoxの概要やそのネットワークを利用したIoTデバイスなどを紹介。第3回となる今回は建築物における付帯設備でのSigfoxネットワークの活用事例を解説する。 - 山岳トンネル工事:ケーブル不要の“LPWA”通信でトンネル坑内の計測時間を半分に、大成建設
大成建設は、トンネル坑内の計測作業にLPWA無線通信を採り入れ、通信ケーブル無しで1キロ以上の長距離通信を可能にする計測システムを実用化した。今後は、山岳トンネル工事で行う多くの計測作業に適用することで、現場での作業の省力化を図っていく。 - 建設業で効果的なZETA通信の基礎や最新動向(2):コロナ禍のZETA通信を活用した施設管理例
本連載では、ICTシステムに関する企画やコンサルティング、設計、構築などを手掛けるNECネッツエスアイ ビジネスデザイン統括本部 デジタルタウン推進本部 事業推進マネージャー 川崎孝史氏が、通信規格「ZETA」の基礎知識や最新動向、建設業での活用方法を紹介する。第2回は、コロナ禍で必要性が増すICT機器と、それをつなぐZETA通信をはじめとするマルチコネクティビティの在り方について採り上げる。 - 防災:法面や傾斜地を遠隔監視可能な「法面傾斜観測計」、作業員の土砂災害被災を防ぐ
グリーンハウスは、近年法面の構造物工で作業を行うスタッフが、土砂災害の被害に遭うケースが増えていることを踏まえて、遠隔地で地すべりや土石流、がけ崩れの予兆を把握し、被災を防ぐ遠隔監視ソリューション「法面傾斜観測計」を開発した。 - 電子ブックレット(BUILT):第1回i-Construction推進コンソーシアム「技術開発・導入WG」まとめ
ウェブサイトに掲載した記事を印刷しても読みやすいPDF形式の「電子ブックレット」にまとめました。無料のBUILT読者会員に登録することで、ダウンロードすることができます。今回紹介するのは、国土交通省関東地方整備局が主催した2019年度第1回マッチングイベント「i-Construction推進コンソーシアム“技術開発・導入WG”」のまとめです。 - 日本ものづくりワールド2020:建機の盗難防止や施設の温湿度管理に役立つ多機能位置検出器「GPSマルチユニット」
京セラは、建機や高級車の盗難防止や施設の温湿度管理、高齢者の見守りに活用できる多機能位置検出器「GPSマルチユニット」を開発した。 - スマート検針:「LTE-M」通信で水道メーターの検針自動化、アズビル金門と郡山市
アズビル金門は、福島・郡山市の上下水道局と連携して、電子式水道メーターの検針や漏水監視などを自動化する実証実験を行う。