コロナ禍のZETA通信を活用した施設管理例:建設業で効果的なZETA通信の基礎や最新動向(2)(1/2 ページ)
本連載では、ICTシステムに関する企画やコンサルティング、設計、構築などを手掛けるNECネッツエスアイ ビジネスデザイン統括本部 デジタルタウン推進本部 事業推進マネージャー 川崎孝史氏が、通信規格「ZETA」の基礎知識や最新動向、建設業での活用方法を紹介する。第2回は、コロナ禍で必要性が増すICT機器と、それをつなぐZETA通信をはじめとするマルチコネクティビティの在り方について採り上げる。
前回のおさらい
本連載の第1回では、通信規格「ZETA」の基本事項や最新動向、建設業での活用方法を紹介した。具体的には、ZETAの概要や通信業界での位置付け、特徴的な機能に説明するとともに、ZETAのマルチホップ機能の利点やZETA閉域プラットフォームサービスで手軽にZETAが利用できることに触れた。
第2回では、ZETAの活用シーンやパッケージ、アプリケーション、デバイスなどを採り上げる予定だったが、切り口を変えて、現在のコロナ禍における通信の存在意義や活用方法などを解説する。
コロナ禍でのIoTとLPWAの存在意義
新型コロナの影響で、筆者自身も一時は外出を自粛した生活を強いられ、就業環境も自宅でのリモートワークが主体となった。新型コロナによって、我々は生活の仕方、働き方、学び方、遊び方などあらゆるものに、急激な変化がもたらされた。コロナ禍での経験を踏まえて、改めてIoTや通信の存在意義を考えてみた。
通信により、さまざまなモノのデータがつながり、遠隔地に情報が伝達され、データが共有される範囲や対象、情報量や種類が広がっていくことは、昨今の社会情勢下だけでなく、平時でも価値があり、経済活動や社会生活で必要だ。例えば、リモートワークの環境は通信技術がなければ成立しない。
また、今後も就労人口の減少や少子高齢化の流れが止まらない社会を見据えると、コロナへの対処として3密対策をしつつ、経済活動の継続と発展をさせてなければならない。結果として、作業の高効率化と省力化を実現する手段として、IoTや通信の存在意義は、より一層高まっていくだろう。
ICTの位置付け、価値の転換
さらに、コロナの影響によるICTの位置付けの変化や価値の転換に関して筆者の考えを共有する。近年、ICTの位置付けは、各社の情報システム部門が担ってきた「主に社内向けに運用される“守りのICT”」から「各事業部門で顧客への新たな価値を創出する“攻め”のICT」へ変わってきている。
今後は、攻めのICTに新型コロナ対策の要素が加わる形となる。攻めのICTにおける3密対策の例は以下のようになる。
・攻めのICTにおける3密対策
- 「密閉」を避ける対策:細(こま)めな空気の入れ替えを促す換気管理、室内環境モニタリング
- 「密集」を避ける対策:映像AIによる密集度や行列を検知し他スペースへの誘導
- 「密接」を避ける対策:リモートワーク、遠隔監視、無人店舗
上記の3密対策は同時に生産性向上や事業機会の拡大に貢献することも期待できる。また、同対策で、従業員の安全を守り、かつ顧客への安心感や満足度を高めていくことで、経済活動の発展が見込める。
ZETAの活用方法・シーン、パッケージサービス
以上のように、コロナ禍におけるIoT、ICTの位置付けについて述べてきたが、次はZETAの具体的なパッケージや活用方法に触れる。まず、ビル内の環境や設備の状態をモニタリングすることで、3密対策や生産性向上などの効果が期待できるZETAのパッケージについて説明する。
下図に示す「with/afterコロナ 環境モニタリングプラットフォームサービス」のように総合的に提供されるものや「換気お知らせ」「水漏れ検知」といった単機能をパッケージした形で提供されるものがある。各サービスの大きな特徴は、BAS(ビルオートメーションシステム)といった大規模システムを導入せずに、センサーや「ZETA AP」の後付けで、必要箇所または隅々までモニタリングできることだ。
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