アズビルが提案する“with/afterコロナ時代”のオフィスと社会を支えるIoTビル設備群:第5回 住宅・ビル・施設 Week(3/3 ページ)
アズビルは、ビルディングオートメーションシステムを核に据え、IoT、AI、ビッグデータと多面的に組み合わせることで、with/afterコロナ時代のスマートビルを提案している。なかでも、2019年に発表したAI顔認証技術を利用したウォークスルーの入退場管理システムは、温度検知の機能を新たに追加し、コロナ禍における非接触の入退場セキュリティと感染予防を両立させた。
リモートアークでビル管理業務を実現する「FM Terminal」
新時代の社会を支えるBASのアプローチでは、まず経済産業省が2019年に策定した「ビルシステムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」を受けて、市場でも注目が集まっているBASに対するサイバー攻撃に関して、高い防御力をアピール。具体的には、ビルの頭脳とも言える中央監視システムの導入時に、製品面では基本的防御策を施し、運用面ではマルウェアやネットワーク上の不正を検知する機能を提供して万全の対策を講じている。さらにエネルギーや設備保全の管理で利用するクラウドサービスでも、情報セキュリティの特性に合わせた運用・管理を行っている。
また、建物管理の働き方改革の視点では、タブレットで中央監視システムへアクセスして、どこにいても施設管理業務が行えるWebサービス「FM Terminal」を紹介。FM Terminalは、1980年代からアズビルが展開している遠隔ビル運転代行の新サービスで、外気ダンパや空調運転データを基に換気診断レポートも自動生成してクラウド上で各物件の状態を把握し、エネルギー分析にも役立てられる。ここ最近のコロナ禍では、ビル管理業務のリモートワーク化といったニーズをすくい取るだけでなく、感染者が発生し、容易にビルへ立ち入れなくなっても、遠隔で設備を稼働させ続けられる有用性が新規需要を喚起することも予想される。
遠隔監視でのアズビルの独自性を考えると、BASやBEMSなどで他にも同様のサービスを提供するIT系企業は存在するが、アズビルは単に販売だけではなく、365日24時間体制の遠隔監視センターでも常時把握している。社内にはエネルギー管理士だけでも400人以上が在籍し、技術者が毎日データをチェックすることで、PDCAサイクル(Plan:計画→Do:実行→Check:評価→Act:改善の繰り返し)に沿って、その都度、改善案を顧客に提案できるIT+人のスキルを基盤にしたサポート体制が他との差別化になっている。
この他、ブースでは、キヤノン製カメラを活用して設備のアナログメータ―を読み取り、同時に機器の状態もモニタリングして、AIで異常予兆を検知し、設備管理者の負担を軽減する設備の維持管理システムをはじめ、afterコロナの次に目標とする脱炭素化の一環で、電力の需給バランスを需要家側で調整する「デマンドレスポンス」のサービスなどを解説した。
デマンドレスポンスは、BASやBEMSで各ビルの設備がネットワークで接続されているため、いざというときや自然エネルギーを無駄に消費をしているときに、設備の稼働量を自動的に抑制して、再生可能エネルギーの利用を促す電力サービスを指す。社会の電力インフラを守れるだけに限らず、SDGsへの貢献に対して単価と節電量に応じて報奨金を得ることもできるという。
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