オープンBIMを成功に導く、BIM人材の育成手法とBIMモデルの更新:Building Together Japan 2020(3/3 ページ)
竹中工務店は、GRAPHISOFTのオンラインイベント「Building Together Japan 2020」で、「オープンBIMによるモデル構築と作業所における利活用」のテーマで講演を行った。登壇した生産本部 生産BIM推進グループ グループリーダーの山崎裕昭氏は、BIMの活用には正確性を追求するための“更新”が必須であり、そのためにはBIM対応の人材を確保・育成する必要があるとした。また、協力会社やサブコントラクターとともに、オープンBIMとして連携するには、IFCの理解が不可欠と説いた。
必要な時に、必要な部分だけ詳細度を上げる
山崎氏がBIMモデルを更新し続ける必要性を訴えるのは、更新によってBIMモデルの正確性を維持するためだ。
BIMモデルは、設計や施工が進むと詳細度が増し、“LOD”の数値が上がっていく。BIMモデルをベースに作業を行う方法では、この詳細度が高いほど、精度の高い情報が得られると考えられがちだ。しかし、全体的にBIMモデルのLODを上げると、モデル自体が重くなり過ぎて使えないという事態が発生する。山崎氏は、「単純に詳細度を上げるのではなく、必要な時にだけ必要な分だけLODを高めることで、モデル容量を抑え、業務を平常化することが大切だ」とする。
また、「BIMモデルを成長させていくことが重要」とし、変更内容をモデルに随時反映させための体制づくりの必要性を説いた。海外では、モデル内で躯体図や平面詳細図を作成し、変更内容をその都度反映する「As-Build」という概念が普及しているが、日本ではまだ一般化していない。そのため、「FM領域にまで生かせるBIMモデル活用に、業界全体で改善しながら取り組まなければならない」と山崎氏は提言し、講演を終えた。
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