FMにBIMを活用する(その1)「国土交通省 建築BIM推進会議から考える」:いまさら聞けない建築関係者のためのFM入門(7)(1/3 ページ)
本連載は、「建築関係者のためのFM入門」と題し、日本ファシリティマネジメント協会 専務理事 成田一郎氏が、ファシリティマネジメントに関して多角的な視点から、建築関係者に向けてFMの現在地と未来について明らかにしていく。今回は、FMにBIMを活用するをテーマに、国交省「建築BIM推進会議」の動向から考察した。
近年、建築生産現場では、「BIM(Building Information Modelling)」が大いに活用され始めている。BIMとは、「コンピュータ上に作成した主に3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建築情報モデルを構築するシステム」(建築BIM推進会議より)と定義されている。
◆国内でのここ数年のBIM動向
BIMは、日本の建築界に導入されて、まだ10年ほどで、広く一般的に利用されるまでには至っていないが、一部の大手建築設計事務所やスーパーゼネコンでは、先行して積極的に活用されている。3次元でリアリティーのある表現に属性データを併せ持つBIMは、設計者のイメージやデザイン上の利便性、整合性、効率化、高品質化、プレゼンテーション力の向上、各種シミュレーションへの可能性などで、設計や施工に大きく寄与するだけにとどまらず、発注者やユーザー側にも分かりやすく、企画提案時の理解力や説得力にも役立つツールである。
BIMが欧米やシンガポール、中国などでは日本に先駆け導入されていることは既にご存じの通りである。日本でも生産性の向上を目指し、国土交通省が早くから推進してきているが、注目すべきは2019年(令和元年)6月21日に閣議決定した『成長戦略フォローアップ』である。
ここでは、「BIM導入を戦略的に進めるため、国・地方公共団体、建設業者、設計者、建物所有者など広範な関係者による協議の場を設置し、直面する課題とその対策や官民の役割分担、工程表等を2019年度中に取りまとめる」と示された。さらに、本年、2020年(令和2年)7月17日に公表された『成長戦略フォローアップ』では、「……企業へ経営環境の変化に応じた人材戦略の構築を促し、中長期的な企業価値を向上させる観点から、……2023年度までに小規模を除く全ての公共事業でBIM/CIMを活用する……」ことが提示された。
国土交通省では、2019年6月21日に閣議決定した『成長戦略フォローアップ』を受け、同月「建築BIM推進会議」(松村秀一委員長:東京大学大学院 工学系研究科 特任教授)を発足させ、建築分野での生産性向上やBIMによりデジタル情報が建物のライフサイクルを通して活用される仕組みの構築を目指し、20以上の関連団体を招集して、官民一体での検討に着手した。もちろん、当協会からも猪里孝司BIM・FM研究部会長が委員として参加している。その事務局が、国土交通省内で横断的に、住宅局建築指導課、不動産・建設経済局建設業課、大臣官房官庁営繕部整備課の3課であることも興味深い。
建築BIM推進会議の位置付けは、下記の国土交通省リンクを参照されたい。
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