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オープンBIMを成功に導く、BIM人材の育成手法とBIMモデルの更新Building Together Japan 2020(2/3 ページ)

竹中工務店は、GRAPHISOFTのオンラインイベント「Building Together Japan 2020」で、「オープンBIMによるモデル構築と作業所における利活用」のテーマで講演を行った。登壇した生産本部 生産BIM推進グループ グループリーダーの山崎裕昭氏は、BIMの活用には正確性を追求するための“更新”が必須であり、そのためにはBIM対応の人材を確保・育成する必要があるとした。また、協力会社やサブコントラクターとともに、オープンBIMとして連携するには、IFCの理解が不可欠と説いた。

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BIMのためのモデル構築にならないように

 作業所での事例としては、山崎氏が担当した福岡の劇場を備える総合商業施設(杭基礎、S造9階建て、延べ床面積約2万平方メートル)のプロジェクトを紹介。

 本案件では、設計にArchicad、構造には自社開発した構造設計システム「BRAIN」を使用した。作業所では、BIMモデルを引き継ぎ、平面詳細図、躯体図、白図をArchicadから出力。この他、設備専用CAD「Rebro」で総合プロット図、またはグラフィカルなBIMのレンダリングが可能なArchicad対応のツール「Fuzor」で4Dなどを作成した。

 サブコンや協力会社では、多彩なソフトが使われていることが常である。例えば、外装ではRevitとArchicad、設備では設備用BIMソフト「CADW’ell Tfas」といったように。また、鉄骨ファブでも鉄骨専用CAD「REAL4」、鉄骨製作トータルシステム「KAPシステム」なども使われている。これらのソフトで作成したデータは、最終的にIFC形式に統一して変換され、Solibri上に集約して干渉チェックを行った。


目的や分野に応じて多種多様なソフトが利用されるが、最終的にはIFCで統合

 BIMモデルの構成としては、閲覧用と編集用に分け、BIMモデルが成長するに従ってデータが重くなり、作業効率が低減することを避けている。情報量が多くデータ量が膨大になりがちな閲覧用の集合データ=Archicadのフルモデルは、外装、鉄骨、劇場の各データを直接リンクさせると、データが重複してしまうため、各データ間を経由させたリンクとするなどの工夫をしている。


閲覧用と編集用に分け、作業の効率を担保

 このプロジェクトでは、主体となる間仕切りモデルを内装とした。そして、Archicadのチームワーク機能を活用して、複数のオペレーターが同時に作業できる環境を整えたという。山崎氏は、「物件によって切り分け方は変わってくるが、どこで切り分けモデルをどう構成するかがBIMマネジャーの役目だろう」と説明する。

 また、山崎氏はプロジェクトが当初からBIM活用の目線で取り組まれたものとしながらも、「どういう使い方をしていくか、施工のプロセスを見て、いかに価値を生み出していくかを念頭に置いて進めた」と、BIMだけのためのモデル構築にならないように注意したことを補足した。

どうやってBIM対応の人材を確保するか?

 BIMモデルを活用のために、山崎氏はBIMモデルを更新し続けることの必要性を提言した。そのためには、BIMモデルを扱える人材の確保が欠かせないことも指摘した。

 建設業界で人材不足が叫ばれる中、BIMモデルを扱える人材を手配するのは難しい状況にある。これに対して山崎氏は、「自分たちで育てていくという目線が大事」と話す。

 実際に竹中工務店では、作業所の中でオペレーターがBIMに関するやりとりをしやすいように、オペレーター同士を横隣に配置しているという。また「2次元人材のBIMシフト」と「施工ノウハウのBIMシフト」の考え方も採り入れている。

 2次元人材のBIMシフトとは、CADの経験が豊富なベテランオペレーターに、BIMにも対応してもらうことだ。山崎氏は、これによって不足したBIM人材を確保し、品質面でのリスクも回避できると有効性を語る。


BIM人材の育成のため、コミュニケーションが取りやすい座席配置を意図的に作る

 施工ノウハウのBIMシフトは、例えば施工に関して豊富なノウハウを持つベテランがBIMを通して若い人材に施工図などを教えることを指す。経験豊富な施工人材がBIMを学びながら、若者への伝承や品質低下の防止にもつながる。講演では、これらの施策によって、1人だったBIMのオペレーターを6人にまで増やした実例も紹介した。

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