リアルタイム位置情報システムをBIMと連携、羽田隣接の「HICity」で施設運営ツールに導入:現場管理
鹿島建設は、GNSS環境が無い現場でも、資機材や作業員の位置を把握する現場管理システムをBIMとリンクさせることで、商業施設内の人やロボットの動きを可視化して、施設運用の効率化につなげることを目指している。
鹿島建設は2020年10月28日、建設現場での資機材の位置や稼働状況、人の位置やバイタル情報をリアルタイムに3次元で表示するリアルタイム現場管理システム「3D K-Field」を、旧羽田空港ターミナル跡地で2020年7月3日に一部開業した大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY(HICity)」の施設運営ツールとして導入したと公表した。
BIMとの連携で資機材や人の位置情報を3次元表示
3D K-Fieldを施設のデジタルツインとして位置付け、各施設や自律走行バスの混雑状況、施設管理スタッフやサービスロボットの動作状態を把握することで、来場者の満足度向上や合理的な施設管理・運営につなげる。システムの導入には、鹿島建設のグループ会社One Teamがシステムのカスタマイズと、約370基のビーコン受信機など各種センサーの取り付けを担当した。
鹿島建設では、モノの位置情報を得るために一般的に用いるGNSS(グローバル衛星測位システム)が使えない建設現場でも、資機材や作業員の正確な位置を確認する目的で、2019年3月にリアルタイム位置情報システム「K-Field」をマルティスープと共同開発した。今回、K-Fieldをベースに、建物の3次元情報を持つBIMと連携させることで、3Dモデリングの表示を可能にした3D K-Fieldを新たに開発した。
3D K-Fieldは、資機材や人の位置情報の他、現場内に設置された複数のカメラやIoTセンサーで得られた複数の情報をデジタル空間上の建物に表し、リアルタイムに現場全体の状態を可視化する。現場管理に必要な情報を同一画面内に一元化して、映し出すため、「鹿島スマート生産」の一つ「管理の半分は遠隔で」のコアコンセプトに基づき、現場事務所や本・支店などの遠隔地から現場の状況をリモート管理する遠隔管理システムとして期待されている。
HICityは、鹿島建設など9社が出資する羽田みらい開発が運営し、研究施設、体験型の商業施設、アート&テクノロジーセンター、交流・連携施設、会議研修センター、ライブハウスのZeppなどで構成する国際交流・産業拠点で、2022年のグランドオープンを予定している。
国土交通省のスマートシティーモデル事業「先行モデルプロジェクト」にも選定され、スマートシティーに求められる多種多様な先端技術やサービスの導入が予定されており、3D K-Fieldは施設運営ツールと空間情報データの基盤となる。これによりHICityでは、警備や構内物流、清掃などの施設管理スタッフをはじめ、モビリティ、ロボットなども含め、3Dで見える化して、先端テクノロジーによる施設運営を最適化するだけでなく、施設内の各所に設置したデジタルサイネージで、トイレや会議室の空き状況を知らせ、来場者の利便性向上にも役立てる。
今後は、専用アプリを介して、来場者に施設の混雑情報、自身の移動情報なども提供して、施設内の導線計画や回遊性を効率化するとともに、行政や民間企業が持つオープンデータと分野横断的なデータ連携も図り、地域のさまざまな課題の解決や新たな価値・サービスの創出に取り組んでいく。また、収集した情報をビッグデータとして蓄積し、AIで解析することで合理的な施設運営につなげていくことも視野に入れている。
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