マックやセブンの木材活用事例とは?木材建築利用の最新動向:住宅ビジネスフェア2020(2/2 ページ)
林野庁では、民間建築物の木造化を拡大する目的で、2018年から「民間建築物などにおける木材利用促進に向けた懇談会(ウッド・チェンジ・ネットワーク)」を開催。懇談会の成果として、木材利用の意義を理解したセブン‐イレブン・ジャパンや日本マクドナルドホールディングスが木造店舗の開発に乗り出している。
低層公共建築物の木造率トップは山形県
2018年度の低層公共建築物を対象にした都道府県別木造率について、長野氏は、「国土交通省が発表したデータに基づき、林野庁が試算した結果、山形県が52.3%で最も高く、次点が岐阜県の48.5%だった。地方にある低層公共建築物の木造率が高かった一方、東京都などの都市部は低かった。都市部にある公共建築物の木造化が国産材の活用を促進する鍵だ」と説明した。
国産材を活用した公共建築物に関して、長野氏は「林野庁が管轄する嶺北森林管理署の庁舎と環境省の旭岳ビジターセンターは国産材を用いた木造建築物だ。今後は、老人ホームや駅、空港ターミナルなどの木造化を促していきたい」と述べた。
林野庁が2017年度に行った調査の結果を見ると、低層公共建築物の60%以上は民間部門が整備しており、うち約80%を医療・福祉施設が占めた。林野庁では、医療・福祉分野で、建築物への木材利用を活発化させるため、両分野の専門家から成るワーキンググループを作り、木造化と木質化の事例をリサーチし、HPで公開している。
木材活用を後押しする政府の取り組みついて、長野氏は、「自民党が2019年4月18日に、“森林を活かす木造化推進議員連盟”を立ち上げた。同連盟は、都市の中高層建築物や非住宅分野の木造と木質化を強力に進めるとともに、温暖化防止や地方創生、国土強靭化の実現を目指し、国産材の利用を促す施策を国に提言している。入会企業は2020年6月時点で、105社に上り、会員会社の一部からは、“公共建築物など木材利用促進法の対象を民間の建築物にも広げて欲しい”といった要請も寄せられており、建築物の木造化が国内で増えていく機運を感じている」と解説した。
林野庁では、民間建築物の木造化を拡大するため、2018年から「民間建築物などにおける木材利用促進に向けた懇談会(ウッド・チェンジ・ネットワーク)」を開催している。同会では、建設会社や設計会社、施主となる会社が集い、木材利用に関する課題の特定や解決策の検討について協議している。2020年8月時点で、参加企業には、セブン‐イレブン・ジャパンや日本マクドナルドホールディングス、ヒューリックなどが名を連ねる。
長野氏は、「日本マクドナルドでは、これまで平屋建て店舗の構造にはS造を採用していたが、ウッド・チェンジ・ネットワークに参加し、木材利用の意義を理解したことで、木造平屋建て店舗の開発をスタートした。同社の担当者からは“S造と比べて、発注から竣工までの期間を3カ月短縮でき、投資コストも抑えられた”と聞いている。日本マクドナルドでは、開発を予定している店舗の約50%で、外装装飾材での木材活用か、建物の躯体を木造とすると発表している」と事例を紹介した。
また、「セブン‐イレブン・ジャパンでは、これまで軽量S造で出店してきたが、持続可能な資材を店舗に使用する取り組み“グリーンチャレンジ”の一環として、木造店舗の開発に挑戦する予定だ。その後、木造店舗の標準化を進めていくことも検討している」と付け加えた。
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