公共建築物の木造化率が90%超え、木材利用促進法の施行以降で最高値を記録:産業動向
国土交通省と農林水産省は、木材利用促進法に基づき、公共建築物の木造化や木質化を推進している。
国土交通省と農林水産省は2020年3月18日、公共建築物における木材の利用状況を取りまとめ、2018年度に国が整備した低層の建築物の木造化率が90.6%になったことを明かした。木材利用促進法の施行以降、最高の木造化率となった。
木材使用量は2016〜2018年度の間で最多
2018年度は、対象となる低層の公共建築物※185棟のうち、77棟で木造化が図られ、延べ面積は9051平方メートルに及んだ。いずれも、前年度よりも数値は落ちているが、木造化率は高水準となった。また、内装などで木質化を行った公共建築物は、前年度比で2棟減の169棟となったが、木材の使用量は4206立方メートルで、2016〜2018年度の間で最多となった。
※1 耐火建築物とすることが求められる建築物や災害応急対策活動に必要な施設、木造化を図ることが困難な施設(特別な重量物を載せるような施設)などは、対象から除いている。
両省は2018年度に施行した木材の利用活発化に向けた取り組みについて、「公共建築木造工事標準仕様書 2019年版」にCLTパネル工法を追加したことや「木材利用推進研修」で地方公共団体職員の人材育成を強化したことなどを列挙。さらに、予算要求段階から、木造化に該当する公共建築物について、木造化されているかの確認を実施したことも挙げている。
両省は、木材利用促進法について、今後の需要が期待できる公共建築物にターゲットを絞って、率先して木材の利用を推進。地方公共団体や民間事業者にも主体的な取り組みを促し、住宅など一般建築物への波及効果を含め、木材全体の需要が拡大することを目指している。
また、公共建築物における木材利用をどのように進めているのか、定期的に国民に対して内容を知ってもらう必要があると考え、木材利用促進に関する基本方針に基づく措置の実施状況について、毎年1回公表している。
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