「賃金構造基本統計調査」に見る建設技術者の給与動向、年収550万円で製造業を上回る:建設業の人材動向レポート(23)(2/2 ページ)
本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向をさまざまな観点からレポートしている。今回は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をベースに、建設技術者の給与動向を調査した。
■大手企業と中小企業の給与格差が大きい
企業規模別の年間賃金総支給額では、建設業は従業員数1000人以上では772万6000円、100〜999人では590万7000円、10〜99人では450万4000円となっている(図表4)。全産業の合計では、1000人以上が591万円、100〜999人は475万6000円、10〜99人では408万8000円なので、建設業では大手企業と中小企業との給与格差が大きくなっていることが分かる。
■年齢層が上がるについて急速に給与格差が拡大
企業規模別・年齢層別の年間賃金総支給額は、若年時の年間給与総支給額は企業規模による違いはほとんどないが、その後の増加率には大きな隔たりがあり、50〜54歳は1000人以上で756万4000円、100〜999人で570万2000円、10〜99人で461万5000円となり、大きな差がついている(図表5)。
■測量技術者、配管工、大工の年間賃金総支給額は全産業平均を下回る
2019年における職種別の年間賃金総支給額を見ると、一級建築士が702万9000円と飛びぬけて高い(図表6)。次いで、測量技術者が468万8000円、配管工が466万5000円、大工が414万9000円、とび工が393万円となっている。
一級建築士以外は全産業平均を下回るレベルであり、水準は高くなく、現場で働く建設技術者の給与水準をいかに上げるかが課題になると考えられる。
■まとめ
建設業の年間賃金総支給額は、2019年においては製造業及び全産業平均を上回っており給与水準は高い。しかし、企業規模別では、大手企業と中小企業の給与格差は全産業平均以上に大きく、中小規模の建設業における給与水準の向上が大きな壁だと考えられる。
業種別では、職別工事業の給与水準が全産業平均よりも低く、30歳以降で給与額がほとんど伸びないことが課題であり、経験やスキルを的確に評価し、処遇に反映させる仕組みの整備が不可欠だろう。
職種別では、とび工、大工、配管工の年間賃金総支給額が低くなっており、現場で働く技能工の給与水準の底上げも必須とされる。
著者Profile
ヒューマンタッチ総研(所長:高本和幸)
ヒューマンタッチ総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。
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