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竹中工務店が既存外壁の意匠を保存する新工法を開発、大丸心斎橋店に適用:新工法(2/2 ページ)
竹中工務店は、竣工から約90年が経過した大丸心斎橋店旧本館(大阪市中央区)の安全性や機能面での課題などを踏まえるとともに、旗艦店舗としての競争力の向上や心斎橋地区の新たなにぎわいの創出を目指して、建て替え工事を行った。
保存対象となる内外装材を3Dスキャナーなどで調査
2016年1月〜12月の解体工事では、最初に保存対象となる内外装材を3Dスキャナーなどで詳細に調べ、外壁の一部を採取し、取得したデータと外壁の一部は、原材料の産地や製造記録、実測図などとともに、調査記録シートにまとめて記録して、写真とナンバリングなどで管理を徹底した。
解体時に取得した1254のパーツのうち、849パーツには洗浄や表面と下地の補修などを施し、1階のメインフロアを中心に、天井やエレベーターホール、階段などに再利用した。旧本館で使われていた部材を復元して、再使用することで、内装のデザインを引き継いだ。さらに、新本館に設置した鏡面天井に復元した部分が映し込むなど、新旧デザインの相乗効果を図っている。
大丸心斎橋店の新本館は、地下がS/RC/SRC造(柱CFT造)、地上がS造(柱CFT造)地下3階/地上11階/塔屋1階建てで、延べ床面積が6万6367.87平方メートル。所在地は大阪市中央区心斎橋筋1丁目7−1で、建築面積が5631.51平方メートル。基本設計・監修は日建設計が担当し、実施設計・監理・施工を竹中工務店が担った。工期は2017年1月〜2019年8月。建物の用途は百貨店。
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