竹中工務店がロボット運用の「BIMプラットフォーム」構築、2020年度中に本格運用
竹中工務店は、機械学習を活用した分析や検索などのサービスを提供しているブレインズテクノロジーに委託し、BIMモデルを地図データに活用したロボット運用のプラットフォームを構築した。近年、清掃ロボットや建設資材の自動搬送、品質管理の記録など、適用領域が拡大している多様なロボットを同一のプラットフォーム上で管理することで、効率的な運用が可能になり、共通仕様によるソフトウェアなどの開発スピードアップも見込む。
竹中工務店は、ロボットが自律走行するための経路や範囲のシミュレーション、遠隔操作、監視が可能になるBIMモデルを活用した基盤システム「建設ロボットプラットフォーム」を開発した。システムはクラウド上で稼働し、建設工事が行われている建物内でロボット運用をサポートする。
複数のロボットをクラウド上で保守運用
今まで、施工中の建物内で建設ロボットを運用する際は、カラーコーンをターゲットに設定して、作業範囲を指定していた。しかし、ロボット稼働台数の増加をはじめ、機能の高度化に伴う保守・運用に関する管理業務の多様化によって、各管理業務の効率化は喫緊の課題となっていた。
竹中工務店では、ロボットを効果的に活用するには、自律的な稼働を実現させること、安全稼働状況の監視および異常時には適切に制御できることが重要と位置付けて、ブレインズテクノロジーに委託して基盤となるクラウド型システムを構築した。
建設ロボットプラットフォームは、BIM連携により、カラーコーンなどを用いた物理的な搬送ルートの指定が不要となるだけでなく、移動目標が見える範囲でしか運用できなかったロボットの作業範囲も、遠隔操作により大幅に拡大する。さらに台数の多い建設ロボットの稼働状況も、ロボットのレンタル会社とともに一元的にモニタリングをすることで、ロボットの保守運用が効率化されることにも期待が持たれている。
具体的には、BIMモデルを地図情報として扱い、クラウド上で走行ルートと動作範囲を設定することで、遠隔指示によりロボットの自律走行が可能になる。同時にロボット操作で一般的に行う走行前にルートを記憶させるティーチングや磁気テープ、2次元コードなどといった動作範囲を指定する手間も省かれる。
クラウド上では、ロボットのバッテリー状態や監視を行う以外にも、ロボット制御の共通ソフトウェア開発やバージョンアップ、さらには各種センサーなどの先端デジタル技術との複合的な開発や適用で、改良スピードが加速することも見込んでいる。
竹中工務店は、2020年6月まで建設ロボットプラットフォームの試験運用を重ね、2020年度中には本格的な導入を目指す。なお、このプロジェクトは、鹿島建設とのロボット技術での連携の一つ、「場内搬送管理システム・建設ロボットプラットフォーム」のうち、竹中工務店が担う開発項目に該当する。
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