「第9回ロボット大賞」の募集開始、前回は土石流予測システムが国土交通大臣賞受賞:ロボット
国土交通省は、総務省や文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、日本機械工業連合会と共同で、第9回ロボット大賞の募集をスタートした。インフラ関連では、前回はドローンを用いた火山噴火時の土石流予測システムが国土交通大臣賞を受賞している。
国土交通省は2020年4月7日から6月5日まで、総務省や文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、日本機械工業連合会との共催で、「第9回ロボット大賞」の募集を募る。各大臣賞の決定は2020年秋頃を予定している。
ロボット大賞は、国内におけるロボット技術の発展や社会実装を目的とし、将来的に市場創出への期待度が高いと考えられる優れたロボットなどの先進的な導入事例や研究開発、人材育成に取り組む企業や団体を表彰する制度。
前年はドローンを用いた火山噴火時の土石流予測システムが受賞
募集する部門は、「ビジネス・社会実装部門」「ロボット応用システム部門」「ロボット部門」「要素技術部門」「要素技術部門」などの7部門で、分野は「社会インフラ・災害対応・消防分野」「サービス分野」「ICT利活用分野」「ものづくり分野」などの6分野で構成されている。
前回は、東北大学 フィールドロボティクス研究室や国際航業、イームズラボ、工学院大学 システムインテグレーション研究室が開発した「ドローンを用いた火山噴火時の土石流予測システム」が国土交通大臣賞に輝いた。
ドローンを用いた火山噴火時の土石流予測システムは、ドローンと各種センシング技術を活用して、火山噴火時の立入制限区域内での地形情報や降灰厚、灰の種類、雨量に関する情報を遠隔から取得し、得られた情報を用いて現実に即した土石流発生予測をシミュレーションする。
これまで困難であった噴火直後の立入制限区域で、観測が進められる技術を確立したことにより、既にある土石流シミュレーションの精度を大幅に高められる実用性に加え、個々の観測技術を1つのシステムに統合したパッケージ技術として完結させている点を国土交通省が高く評価し、受賞に至った。また、火山だけでなく大雨や火災など他の災害への展開も期待される。
インフラ・災害対応・建設分野の優秀賞は、大成建設と筑波大学が開発したコンクリート床仕上げロボット「T-iROBO Slab Finisher」が受賞した。T-iROBO Slab Finisheは、建設現場で、床に打ち込んだコンクリートを平滑に仕上げる作業を省力化するロボット。こて1枚への加力が人による作業と同程度の重量となるように設計されており、こてが回転しながら床に接した状態で床の上を移動することで、人がこてを使用して床を仕上げる作業と同等の動作を実現する。
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