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国交省が建設向け2020年度予算案で、働き方改革の推進に1.5億円を計上プロジェクト(1/3 ページ)

現在、建設業における技能者の3分の1は55歳以上が占め、他産業と比べて高齢化が進行しており、将来の業界を支える担い手の確保が急務となっている。とくに若者や女性の入職や定着に重点を置きつつ、働き方改革を加速し、魅力ある職場環境を整備することで、中長期的に人材確保・育成を進めていくことが重要とされていた。国土交通省と厚生労働省はこういった状況を考慮して、連携して関連施策を実施し、人材確保や育成に取り組んでいく。

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 国土交通省と厚生労働省は、建設業の「人材確保」「人材育成」「魅力ある職場づくり」の3本柱を据えた2020年度当初予算案の概要を取りまとめた。


国土交通省と厚生労働省の連携のイメージ 出典:国土交通省

2020年度当初予算案の内訳 出典:国土交通省

建設キャリアアップシステム取得者に助成金

 3本柱のうち、人材確保の内訳は、「建設事業主などに対する助成金による支援」に61億8000万円、「ハローワークにおける人材不足分野に関わる就職支援の拡充」に38億6000万円、「建設産業の働き方改革の推進」に1億4600万円、「誰もが安心して働き続けられる環境整備」に3100万円、「高校生に対する地元における職業の理解の促進支援」に1500万円をそれぞれ計上している。

 各施策の概要では、建設事業主などに対する助成金による支援が、前年比で2億8000万円拡充され、雇用管理改善や人材育成に力を入れる中小の建設会社などに経費や賃金の一部を助成する。助成目的別では、人材確保など支援助成金(雇用管理制度助成コース)、人材開発支援助成金、トライアル雇用助成金が対象となっている。

 人材確保など支援助成金は、就業規則や労働協約の変更により建設キャリアアップシステム(CCUS)におけるレベル4相当に該当する者の賃金テーブルを年間2%以上かつ5万円以上(資格手当の増額改定の場合は賃金テーブル引上げ同等額以上)に引き上げ、実際に適用した場合に助成する。

 建設産業の働き方改革の推進は、前年比4200万円増額されて、適正な工期設定や施工時期の平準化、技術者の長時間労働の是正、2021年4月開始予定の「専門工事一括管理制度」に向けた施工体制の実態調査や分析を行う。建築業許可申請と経営事項審査申請の電子申請システムの構築などにも主眼が置かれている。


建設産業の働き方改革の推進の概要 出典:国土交通省

 誰もが安心して働き続けられる環境整備は、官民で策定した新計画を踏まえ、積極的に女性活躍の取り組みがなされている地域ブロックで、それぞれの事情を考慮したアクションプログラムの策定に向けた検討を始める。女性が建設業で働き続けられるための環境整備の課題を中心に、整理と事例の収集などにフォーカスを当てる。


誰もが安心して働き続けられる環境整備の概要 出典:国土交通省

 また、社会保険未加入企業に対しては、建設業許可・更新を認めない仕組みを構築する「建設業法改正」が2020年10月に施行されることを見据えた事業も展開する。下請け企業まで社会保険加入を徹底し、法定福利費などを行き渡らせるため、建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会を開催する。他にも、法定福利費見える化の促進や支払い状況の実態調査、社保加入要件化に伴う1人親方化の実態把握なども実施する。

 なお、建設産業の働き方改革の推進や誰もが安心して働き続けられる環境整備、建設事業主などに対する助成金による支援は、人材育成と魅力ある職場づくりのカテゴリーにも組み込まれている。

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