簡易型河川監視カメラ画像のWeb提供を開始、国土交通省
2019年(令和元年度)から全国で簡易型河川監視カメラの設置を進めている国土交通省は、同カメラでリアルタイム撮影した静止画像を、専用サイト「川の水位情報」で提供を開始した。より多くの地点でリアリティーのある河川状況を伝えることで、豪雨時などにおける住民の適切な避難判断を促すことが目的。
国土交通省は2019年(令和元年度)から、豪雨や台風時における河川周辺住民の適切な避難判断を促すことを目的として、国が管理する河川の状況をリアルタイムに把握できる「簡易型監視カメラ」の設置を進めている。同カメラで撮影した静止画像は、専用サイト「川の水位情報」で公開されており、2020年2月26日時点で224箇所の河川状況を確認できる。
同省が設置を進める簡易型監視カメラは、従来型のCCTVカメラとは異なり無線式が選択できる。電源や通信ケーブルが不要となるため、設置できる場所が拡大した。カメラのISO感度も向上しているため、月明かり程度の明るさでも静止画を撮影できる。
撮影した静止画像はインターネットを経由して収集し、水位計のデータなどと併せてサイト上で提供する。製作コストも、従来型にあるようなズーム・首振り機能を外したことで、1台30万円程度まで縮減できた。
住民の避難行動を強く促すためには、河川の静止画像や水位情報をリアルタイムで発信することが不可欠であるが、平成29年7月の九州北部豪雨や平成30年7月豪雨では、大規模な浸水被害が発生した高梁川水系高梁川や小田川などの河川状況をリアルタイムに把握する手段がなかった。
多数の地点に設置ができる簡易型河川監視カメラは、上記状況を受けて国土交通省の革新型河川技術プロジェクトの一環として開発された。
今後は同カメラの設置をさらに進め、令和2年出水期までに国管理河川約1600カ所の画像の提供を開始する予定。既に画像を提供している従来型のCCTVカメラ(約2800カ所)と合わせて、全国約4400カ所の河川状況がスマホやタブレット、PCで確認できるようになる。静止画像や水位情報は専用サイトで閲覧できる。
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