国交省が5Gを活用した建設向け通信システムと品質管理の高度化技術を公募:プロジェクト
国土交通省は、第5世代移動通信システム「5G」を活用した技術を建設現場に導入し、生産性向上を図るため、民間企業などから技術を広く募る。
国土交通省は、2020年年3月3日から4月24日、「第5世代移動通信システムなどを活用して土木または建築工事における施工の労働生産性の向上を図る技術」と「データを活用して土木工事における品質管理の高度化などを図る技術」を公募する。
省人化や工期短縮を実現する技術を要望
前者は、5G通信などで、建機における遠隔操縦の効率向上や部分的な自動施工を実現し、作業員の省人化や工期の短縮、休日の拡大などを図れる技術提案を求める。
後者は、土木工事の施工で、データを取得し、使用することで、現行の品質管理手法を刷新する技術を望む。当該手法を現場実装する際に、国土交通省が規定する各種基準がボトルネックになっているものに限る。
両技術の募集は、同省が推進する建設現場の生産性向上を目的にした計画「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」の一環で行われる。2019年度は、同年4月にも応募を募っており、今回は追加の公募で、提案内容は、2020年度に現場で試行される予定だ。
過去の革新的技術の公募では、映像で現場に臨場するシステムやドローンにより作業の進捗を見える化するシステムなどが選定された。
堀口組や環境風土テクノ、ドーコン、北海道大学が共同開発した映像で現場に臨場するシステムは、全周型カメラや4Kカメラなどを現場に設置し、施工現場を遠隔地から管理するため、移動時間を削減する。取得した映像や音声は記録し、点群化や会話内容の振り返りにも使える。北海道の国道239号線における霧立工区と上平工区で試行された。
ドローンにより作業の進捗を見える化するシステムは、ドローンを用いた全自動空撮測量と3D出来形自動モデリング技術で、工程の進み具合を可視化するとともに、岩種別掘削数量を把握する。3Dモデルで工程の差異が分かるため、早期の計画修正を後押しし、工程の遅延を避けられる。大成建設やオートデスク、イリノイ大学、Reconstructが共同開発したシステムで、秋田県雄勝郡の成瀬ダムでテスト運用された。
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