ダム基礎処理工を自動化、24時間連続施工が可能に 鹿島建設:i-Construction 2.0
鹿島建設は、ダム基礎処理工のボーリングとグラウチング作業を自動化し、24時間連続施工を可能にする基礎処理自動化技術を開発した。従来工法と比べて日当たり施工量を50%向上させ、1サイクルにかかわる作業人員を最大70%削減した。
鹿島建設は2026年10月21日、ダム基礎処理工のボーリングとグラウチング作業を自動化し、24時間連続施工を可能にする基礎処理自動化技術を開発したと発表した。秋田県で施工中の成瀬ダム堤体打設工事における基礎処理工の一部に適用し、従来工法と比べて日当たり施工量を50%向上させ、1サイクルにかかわる作業人員を最大70%削減した。
開発した基礎処理自動化技術は、ボーリングロッドの脱着を含む一連の削孔作業を自動化する「自動ボーリングマシン」と、セメントミルクの配合決定から注入、洗浄までを自動化する「自動グラウチングシステム」から成る。自動ボーリングマシンは鹿島建設、ケミカルグラウト、日特建設、東亜利根ボーリングの4社、自動グラウチングシステムは鹿島建設、ケミカルグラウト、日特建設の3社で共同開発した。
2024年4月の時間外労働時間の上限規制適用に伴い、昼夜二交代制勤務の稼働時間は最大22時間から16時間に短縮された。
ダム基礎処理工はボーリングとグラウチング作業を繰り返しながら施工を進めるが、いずれの作業も中断は困難だ。ボーリング作業を中断すると削孔した孔壁が崩壊するリスクがあり、グラウチング作業の中断はセメントミルクの固化によって十分な改良効果が得られないなど品質トラブルの原因となる。グラウチング作業では、注入時間が5〜6時間に及ぶ場合もあり、手動でセメントミルクの濃度を段階的に高配合へ切り替える必要があった。昼夜二交代制勤務では休憩や交代時間を避けて作業開始時刻を調整する必要があり、長時間連続して施工できる時間帯が限られることから、施工効率の低下が課題となっていた。また、監査廊内などの狭い空間で作業する技能者の負担軽減も求められていた。
セメントミルクの配合から注入、洗浄までを自動制御
自動ボーリングマシンは、ボーリングロッドの脱着を含む一連の削孔作業を自動化し、熟練技能者と同等以上の削孔速度を確保する。
自動グラウチングシステムは、水押し試験からセメントミルクの配合決定、製造、注入指示、注入時の運転管理、注入後のプラントと配管の洗浄までを自動化する。システムは、管理室、中央プラント、セメントミルクの濃度を任意に調整できる原液希釈装置を備えた自動グラウチング用注入プラント、パッカー装置から成る。
ボーリングとグラウチングのいずれも、異常を検知した際には設備の自動停止や現場関係者への自動アラートが可能だ。
成瀬ダムで実証、5500メートル以上の岩盤改良に適用
鹿島建設は、秋田県で施工する国土交通省東北地方整備局発注の「成瀬ダム堤体打設工事(第2期)」で、カーテングラウチングと補助カーテングラウチングの一部に開発技術を適用した。カーテングラウチングは、ダム基礎として地下に連続したカーテン状の止水壁を形成するもの。
ボーリングとグラウチング作業の1ステージの施工には、準備や片付けを含む1サイクルで約15時間を要する。1ステージはセメントミルクの注入区間を指し、一般的には5メートルとなる。実証では、一連の作業を中断せずに1ステージを施工できることを確認した。休憩や交代時間も無人で施工を継続できるため、24時間連続施工が可能となり、従来工法と比べて日当たり施工量が50%向上した。1サイクルに必要な技能者数も最大70%削減した。無人施工によって複数箇所での同時施工も可能になる。
自動グラウチングシステムは、延長5500メートル以上の岩盤改良に適用し、累計1000回以上の自動注入を実施した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
産業動向:大成建設、土木の次世代施工管理ブランド「T-iDRIVE X」制定
大成建設は、土木分野の施工データ活用や自動化/機械化技術を横断的に統合する次世代施工管理ブランド「T-iDRIVE X」を制定した。
i-Construction 2.0:土工総合管理システムで施工状況を3D可視化 三笠ぽんべつダムで実証
鹿島建設は、施工/品質データを一元管理し、3Dで可視化する土工総合管理システムを開発し、北海道三笠市で施工中の三笠ぽんべつダム堤体建設第1期工事に適用した。
第8回 国際 建設・測量展:インフラDX大賞受賞の地方建設業でもできる「遠隔施工」、奈良のゼネコンが独自装置とStarlinkで実現
中和コンストラクションは「CSPI2026」で、インフラDX大賞を受賞した地方建設業による遠隔施工の取り組み成果を発表した。災害復旧現場での安全確保を出発点に、Starlinkや独自開発した遠隔操縦装置を活用し、省人化や生産性向上を目的とした遠隔操作を実現するまでの道のりを適用事例を交えて示した。
スマートメンテナンス:セコムとパスコがダム管理DXを検証 自律飛行セコムドローンXXでダム巡視を自動化
セコム、パスコなどが参画する「中部ダム管理DX研究会」が、自律飛行ドローンを活用したダム巡視点検の検証成果を論文にまとめ、「河川技術シンポジウム」で発表した。
i-Construction 2.0:熊谷組、水深32mの海底で遠隔操作システムの実証実験
熊谷組は、洋上風力発電をはじめとする水インフラ工事の無人化/自動化と維持管理の高度化を目的に、水中遠隔操作システム「AquaMarionette」の開発を進めている。今回、実海域での実証試験を実施し、水深32メートルの海底環境で、数センチ精度での絶対座標計測と構造物フレームの繰り返し接合に成功した。
スマートシティー:加賀市から始まる次世代インフラDX 360度ドローンで“AIが理解できる”都市の3DGS化
ロボットが自律的に動く未来の都市基盤が、加賀市で動き出した。デジタルカレッジKAGAは360度カメラ搭載ドローンと3D空間を描画する最新技術「3DGS」を活用し、市内の観光名所などを3Dモデル化する。3DGSデータは、単に“見る”だけでなく、AIやロボットが“読める”基礎データとしての利活用も見据える。



