インフラDX大賞受賞の地方建設業でもできる「遠隔施工」、奈良のゼネコンが独自装置とStarlinkで実現:第8回 国際 建設・測量展(1/3 ページ)
中和コンストラクションは「CSPI2026」で、インフラDX大賞を受賞した地方建設業による遠隔施工の取り組み成果を発表した。災害復旧現場での安全確保を出発点に、Starlinkや独自開発した遠隔操縦装置を活用し、省人化や生産性向上を目的とした遠隔操作を実現するまでの道のりを適用事例を交えて示した。
建設業界では、現場作業員の高齢化や若手人材の不足が深刻化しており、特に地方建設業にとって担い手不足は死活問題となっている。
慢性的な人的リソースが足りない問題に、「遠隔施工」で解決の糸口を模索する地方の総合建設会社がある。奈良県桜井市に本社を置く、1962年創業の中和コンストラクションだ。IT企業でSEとして勤務していた代表取締役社長の大浦晃平氏は、「第8回 国際 建設・測量展(CSPI2026)」(会期:2026年6月17〜20日、幕張メッセ)の特別セミナーに登壇し、地域建設業が挑戦した遠隔施工への軌跡を紹介した。
中和コンストラクション 代表取締役社長 大浦晃平氏。大学時代は土木・建築系ではなく、情報系学部で学び、卒業後は都内のIT企業に就職し、SEとして働いたという異色の経歴を持つ。2012年に中和コンストラクションに入社、2017年から代表取締役社長を務める 写真は全て筆者撮影
災害復旧が遠隔施工の出発点に
中和コンストラクションは、建築では庁舎や福祉施設、教育施設、土木では道路、河川造成、上下水道、砂防、災害復旧などを手掛け、完工高は約40億円、社員は60名強の地場ゼネコンだ。
遠隔施工に取り組むきっかけとなったのは、2011年9月に発生した台風12号による紀伊半島大水害の復旧工事だった。奈良県十津川村の栗平地区では、山の斜面で深層崩壊が発生し、大量の土砂が栗平川の河道を閉塞。現場には天然ダム、湛水池が発生した。中和コンストラクションは2014年から、排水路の整備や湛水池の埋め立てなどの復旧工事に携わった。
しかし、現場の工事は困難を極めた。復旧工事を進めても、翌年の台風で構造物が損傷し、また流出することを繰り返していた。特に2017年10月の台風21号では、湛水池から水を流す仮設排水路が約72メートルにわたって流れ出し、最大27メートルの落差が生じた。法肩には数十メートルにわたるクラックが発生し、建設機械の自重でも崩落しかねない場所で、掘削や根固めブロックを設置する必要があった。
大浦氏は「非常に危険性の高い施工場所で作業をするオペレーターや従業員の安全確保のための対策を検討した結果、遠隔施工という結論に至った」と振り返る。
現場近くの地盤が安定している高台に操作室を設置し、ジョイスティック型コントローラーでバックホーを遠隔操作した。バックホーや川の両側にはカメラを設置し、状況を確認できるようにした。応急的な対応として始まったが、危険な施工場所に人を立ち入らせずに作業を進めるという目的を果たし、その実績が出発点となった。
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