熊谷組、水深32mの海底で遠隔操作システムの実証実験:i-Construction 2.0
熊谷組は、洋上風力発電をはじめとする水インフラ工事の無人化/自動化と維持管理の高度化を目的に、水中遠隔操作システム「AquaMarionette」の開発を進めている。今回、実海域での実証試験を実施し、水深32メートルの海底環境で、数センチ精度での絶対座標計測と構造物フレームの繰り返し接合に成功した。
熊谷組は2026年7月27日、水中遠隔操作システム「AquaMarionette(アクアマリオネット)」の実証試験で、水深32メートルの海底環境において数センチ精度の水中絶対座標計測と構造物フレームの繰り返し接合に成功したと発表した。
港湾や海洋、河川、ダムなどの水中施工では、深刻な人手不足に加え、大深度下での高水圧や潜水作業に伴う安全確保が課題となっている。電波が届かない水中では重機や構造物を設計通りの位置へミリ/センチ単位で配置するための絶対座標計測手法がなく、視界不良も生じやすいことからカメラ映像を利用した遠隔操作も困難だった。
AquaMarionetteは、常時動揺している水上浮体から視認性が確保できない水中の施工機械などの移動体の絶対座標/姿勢をリアルタイムに計測、解析するシステム。今回の実証試験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発」の一環として実施した。陸地から約300メートル沖合に設置した台船から、水深32メートルの海域で検証を行った。
実証の結果、潮流や波浪による台船の揺れや濁水を想定した条件下で、独自の計測技術により水中ロボットの絶対座標を数センチの誤差でリアルタイムに計測できることを確認した。視界が確保できない環境でも設計データに基づいた正確な掘削や施工を可能とする基盤を確立した。
また、水深32メートルの海底固定点に対して、1.6メートル四方の構造物フレームを繰り返し接合する試験も実施した。試験は複数日にわたって行われ、いずれも高い再現性で接合に成功した。水中構造物の遠隔組み立てや浚渫重機の確実な位置誘導に適用できる高い制御性能と安定性を確認した。
熊谷組は、今回実証した数センチ精度の絶対座標計測と遠隔接合技術は、危険を伴う潜水作業の削減や大深度/濁水環境での無人施工の実現につながるとしている。
今後は、洋上風力発電設備などの海洋インフラ建設工事に加え、ダム湖や河川の浚渫工事への適用も視野に入れる。
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