加賀市から始まる次世代インフラDX 360度ドローンで“AIが理解できる”都市の3DGS化:スマートシティー
ロボットが自律的に動く未来の都市基盤が、加賀市で動き出した。デジタルカレッジKAGAは360度カメラ搭載ドローンと3D空間を描画する最新技術「3DGS」を活用し、市内の観光名所などを3Dモデル化する。3DGSデータは、単に“見る”だけでなく、AIやロボットが“読める”基礎データとしての利活用も見据える。
石川県加賀市のデジタルカレッジKAGAは、市内の施設や空間を対象に、360度カメラ搭載ドローンなどでデータを取得し、最新の3D化技術「3DGS(3D Gaussian Splatting)」を用いた3Dデータ化の取り組みを開始した。
これまでの点群データやフォトグラメトリ技術をさらに発展させ、AIやロボット、自動運転車両が実空間で自己位置を認識し、移動に活用しやすい次世代の空間データを生成するのが目的だ。観光産業へのデジタル素材提供にとどまらず、都市空間の設計そのものを根底からアップデートするプロジェクトとなる。
市内各所の3DGS化とVPS活用で、自動化都市の基盤を整備
点群データは、建物や地形の形状を高精度に記録するうえで極めて有効な手法だ。しかし、AIやロボットが現実の空間を自律的に移動する際は、単なる形状だけでなく、カメラから見える質感や陰影、開口部、標識、段差といった視覚的な特徴を手掛かりに行動を選択する必要がある。
3DGSは、複数の画像や映像から、実空間を高精細かつ写実的に再構成する最新技術で、単なる「見た目の3D化」の枠を超え、機械が空間を認識するための基礎データとして期待を集めている。
デジタルカレッジKAGAは3DGSを加賀市内の都市3Dモデル化に活用し、「人が見る地図」からAIやロボットが「読める空間」への転換を進める。
データ取得には、8K映像や全方向障害物検知を備える「DJI AVATA 360」などの最新360度カメラ搭載ドローン、全天球カメラを使用する。施設内外の空間を多角的に取得し、これまでよりも短時間で広範囲にわたる立体的かつ視覚的な記録が実現する。既に、古総湯やこおろぎ橋、九谷ダムといった市内の名所やインフラ施設を3DGSデータとして再構成した。
取得した高精細データは、カメラ画像と3Dマップを照合して車両やロボットの自己位置を推定するVPS(Visual Positioning System)技術との連携を見込む。
加賀市は、国土交通省が推進する3D都市モデルプロジェクト「PLATEAU(プラトー)」に2020年度から参画し、自動運転やドローンなどの実証環境を整備してきた。こうした既存のデジタル基盤と連携し、将来はロボットや自動運転車が迷わず動ける都市空間の基盤を民間主体で整備する。
ゴミ収集車の自動化を目指すデジタルカレッジKAGAの「KAGA ecomobi」プロジェクトでも、VPS技術の活用を軸に据えて開発を進める。
また、加賀市内でドローン技術者コミュニティーの形成にも力を注ぐ。今回の3DGS化を単なるデータ制作業務として終わらせず、実証で得た技術的知見を「ドローンエンジニア会議」などの場で、地域のエンジニアや事業者と共有。最新技術のノウハウを地域に還元し、地方でもスマートシティーを見据えた都市機能の自動化/自律化の社会実装をけん引していく。
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