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東京建物、ビル管理を「点」から「面」へ AI活用の新拠点「BASE YNK」開設:FM(2/2 ページ)

東京建物と東京不動産管理は、複数のビルをチームで管理する新拠点「BASE YNK」を開設した。AIや3Dビューアなどを活用して設備情報や対応ノウハウを共有し、担当者への業務集中や管理品質のばらつきといった課題の解消を図る。将来的には25人で40物件の管理を目指し、ビル管理の効率化と人材育成、働き方改革を一体で進める。

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属人化したノウハウを共有し、若手の業務習熟を支援


東京不動産管理 業務推進部長 小島亮輔氏 筆者撮影

 東京不動産管理は1956年設立の東京建物連結子会社で、約70年にわたり東京建物グループのオフィスビルなどの管理を担ってきた。

 東京不動産管理 業務推進部長 小島亮輔氏は、従来のビル管理体制の課題を説明した。大規模ビルでは20〜30人程度が電気や空調、給排水などの分野ごとにチームで管理する一方、中規模ビルでは1〜5人程度が常駐し、小規模ビルでは担当者が複数物件を巡回する。

 中小規模ビルでは、少人数の担当者が点検や検針、トラブル対応、テナント対応などを幅広く担うため、知識や経験が特定の担当者に集中しやすい。小島氏は、「担当者が異動すると後任者は物件の特性や設備、過去の経緯を一から覚え直す必要があり、引き継ぎ書だけでは十分に把握できないことが多い」と属人化による課題を指摘した。

 BASE YNKでは、物件単位の「点」の管理から、複数物件をチームで担当する「面」の管理へ移行する。各物件の設備情報や警報、点検記録、対応履歴などをセンターに集約し、現場スタッフと情報を共有。担当者が持つ知識や経験も文字化/デジタル化して共有し、AIによる業務習熟の支援やチーム内での相互フォローに活用する。

 小島氏によると、従来は担当物件に慣れるまで3〜5年かかるとされていた。AIとチームによる支援で習熟期間の短縮を図る他、複数物件で設備トラブルが同時発生した際にも、担当者間で対応の優先順位や役割を調整できる体制を整える。また、急な休暇や長期休暇を取得しやすくする。

 設備監視機能を1カ所に集約し、複数物件を一体的に管理する群管理は既に業界で導入例がある。設備監視機能の集約に加え、建物ごと/担当者ごとに行っていたビル管理を、複数の建物をチームで管理する体制へ移行。ビル管理DXと人材育成の仕組み、働く環境の刷新まで一体で進める。


BASE YNKでは「多棟管理」「ビル管理DX」「働く環境の刷新」を一体で進める 提供:東京建物

ダッシュボードや3Dビュワー、ナレッジAIで情報を共有

 多棟管理を支えるデジタル技術として、ダッシュボード、3Dビュワー、クラウドカメラ、建物管理クラウド「管理ロイド」を活用する。また、設備管理業務に特化した「ナレッジAI」を採用し、実証運用と並行して開発を進めている。


ビル管理DXを実装するだけでなく、働きたいと感じられる環境づくりも進める 提供:東京建物

 ダッシュボードには、各建物の設備警報やエネルギーデータなどを集約。気象情報や緊急地震速報などの外部データも取り込み、複数物件の状況を一元的に確認できる。ダッシュボードの構築に当たり、必要な情報だけをリアルタイムで取得/表示するシステムを独自開発した。大量の建物データを扱いながらシステムを軽量化し、現場での操作性を高めた。

 3Dビュワーは、建物のデジタルモデル上に設備の警報や不具合の発生箇所を表示する。設備情報と建物情報を一元的に確認できる他、設備ごとの点検/修繕履歴や過去の対応記録などをひも付けて蓄積/共有でき、担当経験の少ない建物でも必要な情報を参照しながら対応できる。


複数物件の警報や設備情報などを集約するダッシュボード 提供:東京建物

建物のデジタルモデル上で設備の警報や不具合の発生箇所を確認する3Dビュワー 提供:東京建物

 クラウドカメラは、セーフィーのクラウド録画サービスを採用した。録画機を現地に置く必要がなく、PCやスマートフォンから遠隔でライブ映像や録画を確認できる。

 THIRDが提供する管理ロイドでは、点検や検針、清掃報告などの日常業務をデジタル化する。スマートフォンなどから入力した情報をクラウド上で共有し、複数の担当者が同じ情報を参照しながら業務を遂行できる。AIによる検針値の確認や報告書のチェック機能も活用し、入力ミスや確認漏れを抑制することで、管理品質の平準化と向上につなげる。

 ナレッジAIは、東京不動産管理が蓄積してきた設備情報や過去の対応履歴、トラブル事例などを活用するため、THIRDと共同で開発を進めるAIチャットbot。不具合の状況を入力すると、原因の仮説や一次対応案、類似事例などを提示し、経験の浅い担当者の業務習熟や中堅/ベテラン社員への問い合わせ集中の抑制に役立てる。

漏水トラブルを想定し、センターと現場の連携を実演

 発表会では、台風やゲリラ豪雨などによる水害/漏水リスクを想定した設備トラブル初動対応デモを公開した。管理物件で漏水が発生し、警報が発報したという訓練想定で実演した。

 警報を受信すると、センターのスタッフがダッシュボードで発生場所を特定。3Dビュワーで位置を確認し、クラウドカメラで周辺状況を含めて確認を行った。現場スタッフが確認に向かう間、センターではナレッジAIに状況を入力し、過去の類似事例や対応方法を検索。AIが提示した優先事項や対応手順などの回答を現場側へ共有する。現場スタッフは共有された情報を基に、漏水箇所の確認や応急対応を実施。現場の状況や写真を管理ロイドから報告した。複数の物件で警報が同時に発生した場合のダッシュボード画面も示した。

 働く環境の面では、ユニフォームを刷新した他、従来の管理所のイメージを見直し、明るく清潔感のある執務空間を整備した。経験豊富な社員と若手社員がチームで働き、日常的に知見を共有できる環境を整えることで、業務負担の軽減だけでなく、人材の採用/定着/育成にもつなげる。

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