計画から施工までデータがつながる Autodesk Formaが新機能とAIを拡充:BIM
米Autodeskは、建設向けクラウドサービス「Autodesk Forma」の対応領域を計画から施工までのライフサイクル全体へ拡大する。Civil 3DやRevitとの連携を強化し、AIを活用した新機能で、設計や施工管理のワークフローをつなぎ、業務の効率化と高度化を支援する。
Autodeskは、2026年9月15〜17日に米国ラスベガスで開催したデザインと創造のカンファレンス「Autodesk University 2026」で、AEC(建築/エンジニアリング/建設)向け業界別クラウド「Autodesk Forma(フォーマ)」の対応領域をライフサイクル全体へ拡大すると発表した。計画から設計、施工に至る全ての工程をシームレスにつなぐ新たなFormaソリューション群と、「Autodesk AI」を活用した新機能の拡充も明らかにした。
計画・設計初期から実世界の情報を検討で活用可能に
/bt/articles/2609/29/news084.html
Formaは新たに、企画・計画や設計の初期段階から実世界のコンテキスト(文脈/背景情報)を活用するべく、土木や建築設計ツールとの連携を大幅に強化する。
土木分野では、「Civil 3D」が新たに「Forma Connected Client」となり、Formaと「Revit」との参照ベースの相互運用性を実現する。土木や建築の各分野の設計者が、共通のプロジェクト情報をもとに作業を進められ、工程間で情報を一から作り直す手間を削減する。
道路交通分野向けの新ソリューション「Forma Street Design」として、ベータ版も提供する。初期設計に都市の街路を検討できるソリューションで、実世界のコンテキスト上で車線構成や交差点を検討し、2D平面図と断面図を同期させながら設計可能になる。ステークホルダーとリアルタイムで変更案を検討した後は、設計データをCivil 3Dへ引き継ぎ、そのまま詳細設計へ移行できる。
土木分野では、Forma、Revit、Civil 3D間でジオロケーションの仕組みとワークフローを統一。各ソリューション間で位置情報の一貫性を維持し、手動での座標変換やモデル位置のずれを低減する。また、FugroのGeoDin、GroundIQ、Esri ArcGISと連携し、地下情報や地理空間情報をコラボレーションツール内で直接使えるようにする。
建築設計分野では、FormaとRevitの連携を通じ、初期検討から詳細設計までの情報を継続して活用できる環境を整備する。
Forma Site Designでは、Autodesk Assistantがプロジェクト敷地に関する自然言語の質問に回答するようになる。
Building Layout Explorerでは、クライアントが求める住戸構成をもとに、集合住宅のレイアウト案を生成や比較を可能にする。その後、Forma Building Design、Revitへと進み、より多くのプロジェクト情報を詳細設計まで引き継げる。プロジェクトの目標や要件を起点に、オートメーションを活用して早い段階から複数案を検討する「アウトカム(成果)ベースの設計」が実現する。
Revit自体にもAIを活用した新しいワークフローを組み込み、室内要素の自動補完や注釈の最適化、複数ビューにわたるドキュメント作成の自動化などで設計者を支援する。今後は、現在Revitで行っている設計、解析、調整、ドキュメント作成など、より多くの作業をForma上で直接操作できるように機能を追加する。
プロセス間のコラボレーションを支える「共通データ環境(CDE)」として機能する「Forma Data Management」では、承認ステータスに基づきアクセス権を自動管理する「Smart Controls」、異なるバージョンの図面を比較して変更点を素早く特定する「Drawing Change Analysis」といった新機能を実装。さらに、2027年初頭には、プロジェクトで設定された建築基準や要件に照らして図面一式を評価し、潜在的な問題を早期に提示する「Drawing Compliance Review」も提供する。
施工の工程では、「Forma Bid」を通じて入札ワークフローをFormaに統合する。請負業者は、入札内容の比較や見積項目の抜け漏れの特定をForma上で効率的に行える。
Forma Buildでは、Autodesk AIの活用で、ユーザーごとに対応が必要な項目を「Project Home」に表示するとともに、その重要性を素早く把握できる。
現場向けにはモバイル対応の「Daily Log Agent」を新たに用意し、現場責任者が音声で入力した作業状況を構造化された日報に自動変換することで、終業時の入力負担を軽減する。
Autodeskは今後もFormaの対応領域を広げ、プロジェクトデータや意思決定の履歴を工程間で継続的に活用できる基盤を強化し、AEC業界でのAIを活用した新たな働き方を力強く推進していく方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Autodesk Construction Cloudが「Forma」へ統合 「設計・施工・運用」の真のデータ連携
米Autodeskは、建設プロジェクトの全フェーズをつなぐ「Autodesk Construction Cloud」を、設計・施工の横断クラウド「Autodesk Forma」へ統合した。ブランドの一本化により、企画・設計・施工・運用までが分断されない「真のデータ連携」を目指す。
エージェント型AI搭載でBIMを自然言語で操作 Formaと統合した「Revit 2027」
BIMソフトウェア「Autodesk Revit」が、AIやクラウド連携を強化して最新バージョンにアップデートした。自然言語で操作指示ができるエージェント型AIの導入やFormaとの統合による共通データ環境の拡張など、設計から施工までを一貫して効率化する。
建設生産プロセスの連携を強化する「Autodesk Forma」 設計初期からAI成果予測も可能に
米Autodeskは、米国テネシー州ナッシュビルで開催したグローバルカンファレンス「AU 2025」で、建設向けクラウド環境を「Autodesk Construction Cloud(ACC)」から「Forma」へ統合すると発表し、2026年3月に公式リリースした。AIによる解析や設計の効率化など、次世代プラットフォームの詳細と、グローバルでの建設業界の課題解決策をレポートする。
Autodesk副社長が語る「BIMを描くからAIで“判断する”へ」 Formaで実現するAIネイティブの建設プロセス
Autodesk副社長のニコラ・マンゴン氏は、データの分断を解消するクラウド環境「Forma」の進化とAIの躍進により、データ間の壁を解放し、AIが最適解のBIMモデルを自律的に提示する「アウトカムベースBIM」の構想を提示する。その先には、単純作業の自動化にとどまらず、AIが建設プロセスを回す抜本的なパラダイムシフトと、コストから価値提供へと変わる新たな建設ビジネスモデルへの移行をも見据える。
船場が内装分野に特化したBIM教育サービスを社外提供
船場は、内装ディスプレイ業界のBIM人材育成を目的とした社外向け教育サービスの提供を開始した。社内で構築してきた内装BIM教育プログラムを外部にも展開することで、業界全体のBIM活用促進に寄与する。
AutodeskとAWSが強固なタッグ ソフトウェア調達の一本化やAI+クラウドと強固に連携
米AutodeskはAWSと戦略的協業契約を締結した。Autodeskの建設や製造のソフトウェア群とAWSのクラウド基盤とAI機能が融合することで、製品のAWS Marketplaceでの提供やAI活用を含む建設のさらなるプロセス効率化につながるクラウド強化を目指す。



