Autodesk副社長が語る「AIで描くから“判断する”へ」 Formaで実現するAIネイティブの建設プロセス:Design & Make Summit Japan 2026(1/2 ページ)
Autodesk副社長のニコラ・マンゴン氏は、データの分断を解消するクラウド環境「Forma」の進化とAIの躍進により、データ間の壁を解放し、AIが最適解のBIMモデルを自律的に提示する「アウトカムベースBIM」の構想を提示する。その先には、単純作業の自動化にとどまらず、AIが建設プロセスを回す抜本的なパラダイムシフトと、コストから価値提供へと変わる新たな建設ビジネスモデルへの移行をも見据える。
オートデスク主催の「Design & Make Summit Japan 2026」で、建築・エンジニアリング・建設・運用(AECO)業界向け基調講演に、米Autodesk 副社長 ニコラ・マンゴン(Nicolas Mangon)氏が登壇。人間とAIが共創するBIMの未来像と、建設生産プロセスを包括するクラウドサービス「Autodesk Forma」を軸としたプラットフォーム戦略について詳細に語った。
AIの台頭で人間の仕事が奪われる?
マンゴン氏は冒頭、AI時代の人間と機械の関係性について、「多くの顧客が『AIに仕事を奪われるのではないか』という不安を抱いているが、AIが単純作業を引き受けることで、人はプロジェクトの品質向上や高度な判断に専念できるようになる」と強調した。
AIを有効に活用するためには、AIが学習する土台となる膨大かつ高品質なデータが不可欠となる。マンゴン氏が一例として示した米カンザスシティーでは、建築で扱うデータ量が2003年から2023年までの20年間で66倍以上に増加した。その裏側には、「Autodesk Revit」を筆頭とするBIMの普及が建築情報のデジタルデータ化を加速させ、BIMモデルから図面データをはじめとする各種提出物など、多様な情報が出力されるようになったことが理由として挙げられる。
しかし、こうしたデータは施主や設計者、施工者といった各ステークホルダーの間で分断されており、システムの中に散在してしまっている。そこでAutodeskでは、全ての情報を1カ所に集約する「共通データ環境(CDE)」を独自に構築した。現在は、従来の製品名「Autodesk Docs」からクラウドサービスのFormaブランドへ統一すべく、「Forma Data Management(フォーマ データ マネジメント、FDM)」の名称に変更し、日本にもデータセンターを整備して提供している。
Forma Data Management(FDM、旧称:Autodesk Docs)。Forma Data Management(FDM、旧称:Autodesk Docs)は、建設生産プロセス全体を網羅する共通データ環境の位置付け 提供:オートデスク
Forma Data Management上では、設備機器を例にとると、BIMモデルの形状や位置といった情報だけでなく、工期や設備仕様書、証明、点検結果など非BIMモデルのプロジェクトに関するさまざまなデータを一元的に扱う。企画・設計・施工・維持管理までのライフサイクル全体で、施主も含む誰もが同じデータ基盤を活用するため、これまでのコラボレーション作業のみられた情報の重複や断片化、非リアルタイムの情報共有、標準化プロセスの不徹底が解消する。改修時にも再びその共通データ環境から、スムーズに作業を再開できる利点もある。
2025年からはRevitやAutoCADのユーザーにも、Forma Data Managementのアクセス権を付与しており、マンゴン氏は「業界全体をクラウド化して、情報の分断を解消したい」との姿勢も示した。
また、マンゴン氏は、Forma Data Managementでは単なるファイル共有にとどまらず、まとまったファイルからデータを個別に独立させて、情報を細分化して相互に関連付ける「グラニュラーデータ(粒度データ)」として、自動的に管理できる点にも触れた。
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