エージェント型AI搭載でBIMを自然言語で操作 Formaと統合した「Revit 2027」:BIM
BIMソフトウェア「Autodesk Revit」が、AIやクラウド連携を強化して最新バージョンにアップデートした。自然言語で操作指示ができるエージェント型AIの導入やFormaとの統合による共通データ環境の拡張など、設計から施工までを一貫して効率化する。
米Autodeskは2026年4月、建築/エンジニアリング/建設/運用(AECO)領域のBIMソフトウェア最新版「Autodesk Revit 2027」をリリースした。AIの導入やクラウドベースの設計環境との連携強化で、複雑化するプロジェクトでも効率的かつ一貫性のあるワークフローが実現する。
自然言語でBIMモデルを操作できるAIが初登場
最新バージョンの注目ポイントは、エージェント型AIを活用した「Autodesk Assistant」がテクニカルプレビューとして導入されたことだ。ユーザーは自然言語を使って、BIMデータに対して質問や操作指示を行うことが可能となった。AIがモデルのコンテキストを理解し、現在の作業内容に即した回答や提案をしてくれる。
モデルデータの分析からビューや集計表の作成、パラメーター編集、さらには作業手順のガイドまで幅広く支援する。プロンプトを保存することで、繰り返し作業の効率化と標準化も可能となり、単なるヘルプ機能を超える。
Formaとの統合でクラウドベースのワークフローへ拡張
Autodesk Formaとの連携も大幅に強化し、Revitは単一の設計ツールからクラウドベースの共通データ環境(CDE)へと進化を遂げた。RevitのサブスクリプションにはFormaの各機能(Data Management Essentials、Site Design、Building Designなど)が含まれ、初期の敷地検討から詳細設計までを一貫して進められる。
さらに、Revit上で地理的位置情報を持ったデータへ直接アクセスし、環境データの参照や風解析などをワークフロー内で実行可能なため、設計初期から高度な意思決定が可能になる。
課題管理の機能となる「指摘事項」もRevitに標準統合した。Revit内で指摘事項の作成や確認をすると、Forma Data Managementとも同期する。リアルタイムに課題を管理して見落としを防げるため、後工程での手戻りや問題の発生を減らせる。他にも、ルールベースの要素番号付け機能により、手動による再番号付け作業が不要になるなど、日常的な操作性も大きく向上した。
さらに、ルールベースの要素番号付けで、モデル変更に応じて番号が自動的に更新されるため、従来の手動による再番号付け作業が不要になる。タグや注釈の制御、ユーザーインタフェースの挙動改善など、日常的な操作性の向上により、作業中の中断がなくなる。
Revit 2027では内部処理の強化で、パフォーマンスと安定性も向上。Dynamoの.NET 10対応や計算処理の改善が高速化した以外にも、アクセラレーテッドグラフィックスを正式に搭載し、大規模BIMモデルでもGPUを活用したスムーズな操作感となった。
設計・施工の分野別機能では、建築向けに設計段階から環境への影響(エンボディドカーボンなど)を評価できる「Forma Carbon Insights」を実装した。構造分野では、物理モデルの変更に応じて解析モデルを自動更新し、配筋設計もルールベースで自動適応するようになり、精度と施工性が向上した。
設備分野では、空調設計でゾーニングや負荷計算、機器選定をシステムレベルで合的に扱えるようになり、将来は大手空調メーカーのTRACEが開発したエネルギーモデリングツール「Trane」との連携次世代ツールとのクラウド連携も見据える。
Revit 2027は、データの差分同期で最新状態を維持する他、プロジェクト関係者間のBIMデータ共有を視覚化する「Forma Board」など、コラボレーション機能も充実。IFCマッピングやデータ交換、リアリティーキャプチャーとの連携強化により、異なるツールや関係者間でのデータ連携もよりシームレスに行える。
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