建設生産プロセスの連携を強化する「Autodesk Forma」 設計初期からAI成果予測も可能に:BIM(1/2 ページ)
米Autodeskは、米国テネシー州ナッシュビルで開催したグローバルカンファレンス「AU 2025」で、建設向けクラウド環境を「Autodesk Construction Cloud(ACC)」から「Forma」へ統合すると発表し、2026年3月に公式リリースした。AIによる解析や設計の効率化など、次世代プラットフォームの詳細と、グローバルでの建設業界の課題解決策をレポートする。
米Autodeskは2025年9月、米国テネシー州ナッシュビルでグローバルカンファレンスイベント「Autodesk University 2025(AU 2025)」を開催した。世界中の「Design & Make(デザインと創造)」の先駆者たちによるフラッグシップイベントとなっており、建築・エンジニアリング・建設、製品設計・製造、メディア&エンターテインメントなど、ものづくりの最前線に立つイノベーター約1万2000人超が一堂に集結。次世代を形づくるテクノロジー、トレンド、アイデアを共有した。オンライン視聴者を含む総参加者は3万4000人以上を数え、日本からも350人以上が現地に赴いたという。
今回のテーマは、「AI」「データ」「サステナビリティ」を軸とする「ものづくりの新時代“New Era of Making”」だ。Autodeskでは新たなサービスとして、建設業界向け「Forma」、製造業界向け「Fusion」、メディア&エンターテインメント業界向け「Flow」を3大柱として位置付けている。本稿ではAU 2025の日本ユーザー向け説明会で、日本法人のオートデスクで建築・土木テクニカルソリューション部本部長を務める羽山拓也氏が解説したAECO(Architecture,Engineering,Construction,Operations)領域の「Autodesk Forma(フォーマ)」に焦点を当てて紹介する。
プロセス連携をさらに加速させる「Autodesk Forma」
羽山氏は、Formaの解説に先立ち、現状の世界が抱えているさまざまな課題について問題提起した。「2050年までに世界人口は100億人に達し、それに伴ってエネルギー需要も50%増加し、2040年には94兆ドルにも及ぶグローバルなインフラ投資が求められている。対応するため、あらゆるデジタル化が加速度的に進んでおり、今後のビジネスのスキルアップやリスキリングは、デジタル前提が共通認識となっている」と、建築現場を一元管理するAIやクラウドプラットフォームの重要性を改めて主張した。
今回、既存システムを統合したFormaは、建設生産プロセスを一気通貫でつなぐ、クラウドプラットフォームだ。新機能となるAutodesk独自の「Autodesk AI」をはじめ、BIMソフトウェア「Revit」、設計〜施工のデータをつなぐ「Autodesk Construction Cloud(ACC)」、データを集約して格納する「Autodesk Docs」、維持管理領域のソフトウェア「Tandem」とも高度に連携する。
前身に当たる旧Formは企画段階のみが対象で、設計ではRevit、施工では設計から来たBIMデータで施工スケジュールや品質/安全チェックなどを管理するAutodesk Construction Cloudと、各ソリューションで個別にプロセス連携する仕組みを提供してきた。しかし、その都度データの変換や出力の手間が掛かるうえ、専門ソフトの操作スキルを求められ、プロセス間の連携がうまくいかずデータの再入力や再検討の手戻りが発生していた。
これまでのAutodesk製品が対象としてきた建設生産プロセスの領域。Formaは企画や設計、Autodesk Construction Cloudは設計〜施工連携などに分かれていた 提供:オートデスク
新しいFormaではプロセス共通のデータ環境として、設計初期の検討データがそのまま施工、さらには維持管理の下流工程ともダイレクトに連携し、「検討→解析→比較」のサイクルを高速で回せる。
「クラウドベース」「AI活用の前提化」「業務全体への包括」の3つのアプローチで、4つのソリューション(CAD=AutoCAD、BIM=Revit、つながるBIM=ACC、後述するOutcome-based BIM)を駆使し、建設生産プロセス(計画・設計・施工・維持管理)を包括的に取り扱い、一般建築から土木、水関連インフラ(下水道、水処理施設など)、工場(産業建築)に至るまで、業界の端から端まで全体をカバーする。これまでRevitに触れなかった現場や維持管理の作業員、建築家にも、BIMデータが扱えるようになり、Autodeskが目指す「クラウドとAIで誰も取り残さない」BIM環境が実現する。
BIM環境の展望としては、RevitはCADよりもハードルが高い感じる設計者に対しては、複雑な階層を意識することなく、Autodesk AIによる自然言語だけで修正できる機能の実装も見込んでいる。他にも製造業との融合を見据え、建築部材を製造CADで作り、Revitのオブジェクトとして取り込み、製造のデータベース「BOM(Bill Of Materials)」で在庫管理を行う構想もある。
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