スマホで撮るだけで、0.1ミリ単位のひび割れを測る「フォトノギス」:メンテナンス・レジリエンス2026(2/2 ページ)
TTESは、インフラ点検DXのツールとして、貼り付けた2枚のプレート間の間隔の変化を測定する「フォトノギス」を訴求している。2枚のプレート間をスマホやデジカメで撮影するだけで、橋梁やトンネルなどの構造物のひび割れや支承の変位を0.1ミリ単位で高精度に測定できる。電源や通信環境が不要で、画像解析と2次元バーコードによる個体管理により、点検業務の大幅な効率化が実現する。
2次元バーコードが実現する「管理の自動化」と「人的ミスの防止」
フォトノギスのプレートには、一対ごとに異なる2次元バーコードが印字されており、現場管理で決定的な役割を果たす。
従来の点検では、多数の計測箇所がある場合、撮影した写真がどの箇所のものか判別できなくなることが起こりやすかった。フォトノギスでは画像内の2次元バーコードによって、撮影場所を自動で特定する。あらかじめ「地点A」として登録しておけば、次回の点検時にどの順番で撮影しても、システムが自動的にデータを紐(ひも)付け、時系列のグラフとして整理してくれる。
2次元バーコードの仕組みにより、足場の位置変更や点検員の交代があってもデータの混同を防ぎ、証跡書類としての信頼性も向上する。「誰が撮っても同じ結果が得られる」点が、技術者不足に悩む現場にとっての多大なメリットをもたらす。
現場に電源や通信は不要、過酷な環境にも耐える信頼性
電源や通信などが不要なのも、フォトノギスの現場での使いやすさだ。一般的なモニタリングセンサーは、常時給電や通信設備の整備が必要で、設置コストや停電時のデータ欠測が課題となることが多い。対して、フォトノギスで現地に設置するのは、電気回路を持たないアルミ製のターゲットプレートのみだ。
プレートの設置には強力な接着剤(セメダインのスーパーXなど)を推奨しており、一度貼り付ければ、点検時にはカメラを持って現地を訪れるだけで済む。通信環境のない山間部などの現場でも、撮影さえできれば事務所に戻ってからアップロードするだけで解析できる。
ちなみにターゲットの印字には、米国海軍や国際宇宙ステーションでも採用されている特殊技術が使われている。10年以上の継続的なデータ取得に耐えうる高い耐久性を備えている。
フォトノギスは、ひび割れの管理から支承の変異測定まで、幅広い用途での活用が可能だ。ブースで来場者の対応にあたったスタッフは、「わずかな変位を追跡したいあらゆるシーンで活用できる」と守備範囲の広さをアピールした。
代表的な利用シーンとしては、ひび割れの追跡調査で、初期値からの変化量を測定し、半年前や1年前のデータと比較して進行状況の可視化が想定される。橋梁の支承変位や遊間監視では、橋の継ぎ目や支承の動きを季節ごとの温度変化や振動の影響と照らし合わせて確認できる。排水管の漏水原因究明では、古い排水管の動きを監視し、振動や温度変化が漏水に与える影響を調べられる。
フォトノギスは、1年ほど前に市場に投入し、現在は橋梁の維持管理をメインに使われているが、建物やトンネル、斜面監視など、「時間が経ってずれるもの、離れるもの」であれば用途はさらに広がる。測定範囲は、標準サイズのターゲットで最大50ミリ、大サイズで最大100ミリまで対応する。
コスト削減とDXを両立、NETIS登録も完了した確かな技術
導入コストでも、高額な測定機材は不要で、ターゲットプレートの価格は1セットあたり1万円程度。他にサーバの利用料が必要だが、従来の計測作業やデータ整理に費やしていた事務作業がほぼ不要になるため、トータルでのコスト削減効果は高い。
さらに、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」に登録されており、スマートフォンの活用による公的な評価も取得している。また、ドローンを用いた撮影による自動計測も可能で、将来の点検の完全自動化に向けた拡張性も備えている。
フォトノギスは、シンプルながらも強力な画像解析技術と、2次元バーコードによる確実な個体管理を組み合わせることで、インフラメンテナンスの現場に新たなスタンダードを提示する。熟練者の技術をデジタルで補完し、より安全で持続可能な社会基盤の構築に貢献する技術として、今後の普及が期待される。
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