国交省「PLATEU」にも採用! 米ベントレーが日本の建設デジタルツイン市場へ本格投資:デジタルツイン(1/2 ページ)
ベントレー・システムズは、日本市場の事業拡大戦略「ワンジャパン」を発表した。今後3年で人員を約2倍に増強し、パートナー企業との連携を強化。老朽化と人手不足で苦境に陥る建設現場へ、3Dプラットフォーム「iTwin」や地理空間技術「Cesium」を提案し、建設デジタルツインを強力に後押しする。
インフラ設計ソフトウェアで老舗の米ベントレー・システムズ(Bentley Systems)は、2026年6月に東京都内で開催した説明会で、日本市場での成長戦略「ワンジャパン(One Japan)」を発表した。
「インフラの老朽化」と「労働力不足」の問題を3Dで解決へ
ベントレー・システムズは現在、中国やドイツと並び、日本を重点投資エリアに指定し、インフラ投資額で世界第5位を誇る日本市場に、強い期待を寄せている。最高執行責任者(COO) ジェームズ・リー(James Lee)氏は、日本を重要な市場と位置付ける理由として「インフラの老朽化」と「労働力不足」の2点を挙げる。
日本は1960年代から70年代に整備したインフラが老朽化を迎え、国土強靱化に20兆円の投資を見込む一方、大型プロジェクトの70%が遅延するなど労働力不足が顕在化している。リー氏は、「従来の2Dベースの手法では今後の需要に対応できない。デジタルツインを活用しない限り、課題は乗り越えられない」と強調する。
リー氏の言うデジタルツイン活用とは、「何が建設されたのかを正確に把握できるだけでなく、何を建設すべきかのシミュレーションを可能にし、そのインフラ資産がライフサイクル全体を通じて、どのような性能を発揮するかも予測できる」可能性を秘めている。
難題が山積する建設業界に対し、国土交通省はデジタル化の施策「i-Construction 2.0」の中で、2029年までに全ての公共事業でBIM/CIM活用を原則化する方針を打ち出した。ベントレー・システムズは、データを中心とした建設プロセスへ転換している日本のトレンドを踏まえ、インフラ構造物のデジタルツインプラットフォーム「iTwin(アイツイン)Platform」などを軸に、日本市場へ包括的な事業拡大と投資を決めた。
具体策としては、日本でのオフィス開設をはじめ、今後3年間で日本の従業員数を約2倍に増強。また、カスタマーサクセス体制の整備やローカルなソフトウェア開発、テクニカルサポートの拡大で、日本のワークフローや基準に適したソリューションを提供する。
日本担当ゼネラルマネージャーの鴻野圭史氏は、「ミッションはワンジャパンのチームで、当社の製品をインフラの課題を解決するスタンダードとなるように導いていくこと。そのためには、日本企業のパートナーとの強固なエコシステムが不可欠だ」と明言した。
提携先は、コマツが筆頭株主のEARTHBRAIN、福井コンピュータ、JIPテクノサイエンス、ニュートンワークス、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)といった国内企業で、iTwin Platformなどの3Dプラットフォームとパートナーが持つ専門知識を融合させる。その結果、3D地理空間データの提供、インフラメンテナンスへのデジタルツイン導入サポート、来たる2029年のi-Con 2.0で義務付けられた2Dから3Dへの移行に対応するツールの普及などを見込む。
現状、日本の建設現場は2D中心で、3D活用が進んでいない課題について鴻野氏は、「ソフトウェアを変えるだけでなく、2Dに基づいた既存のエコシステム自体を移行させる必要があるからこそ、日本企業との連携を含むワンジャパン戦略が重要となる」と解答した。
建設以外でも、東京大学や九州大学、大阪大学との次世代を担うエンジニア育成の他、金属資源開発や西日本技術開発との地下資源領域、さらに地震対策など、幅広い分野でのエコシステム構築にも乗り出している。
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