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「バーティカルAI」と「フィジカルAI」がけん引する建設DXの先の「土木AX」:“土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(41)(1/2 ページ)

本稿では、人工知能基本計画は昨今の急速なAI進化を踏まえ、2026年7月にアップデートしました。その中で触れられている「バーティカルAI」「フィジカルAI」「AX(AIトランスフォーメーション)」の概念について、土木分野の最新AI研究を交えて解説します。

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 2025年12月に閣議決定された「人工知能基本計画」が、2026年7月にアップデートしました。背景には、AIの推論能力「考える力」の高度化、「目と耳」にあたるマルチモーダルAIの進展、「AIがAIを創る」AIコーディングの実用化、さらにAIが自ら計画を立て、実行、検証、修正を繰り返すエージェント型AIなど、最近の急速なAI発展があります※1。

※1 内閣府令和8年7月14日閣議決定「人工知能基本計画」

★連載バックナンバー:

『“土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト』

本連載では、土木学会 構造工学でのAI活用に関する研究小委員会で副委員長を務める阿部雅人氏が、AIと土木の最新研究をもとに、今後の課題や将来像について考えていきます。

バーティカルAIとは何か?

 日本の「勝ち筋」も、「バーティカルAI」と「フィジカルAI」の実装による「AX(AI Transformation)」として具体的な道筋が示されています。また、日本の財産となる現場のデータを活用したAIの導入と開発の好循環を創出するため、バーティカルAIとフィジカルAIに加え、「AI for Science」を基軸として、推進する方針が打ち出されています。

 そのバーティカルAIとは、どのようなものでしょうか?データ、モデル、アプリを垂直統合し、暗黙知を含めた現場のデータを活用した領域特化型システムとされています。これまでに見られた特定の問題を解くタイプのAIは、バーティカルAIと言えましょう。

 下図は、多様なデータを統合的に利用して、橋梁(きょうりょう)床版の劣化を診断するエキスパートシステムの例です。1980年代に登場したエキスパートシステムは、バーティカルAIの典型と考えられます。

鋼橋RC床版の診断支援AI
鋼橋RC床版の診断支援AI 出典:※2

※2 「鋼橋RC 床版の診断支援を目的としたエキスパートAI システムの開発」杉崎光一,猪村元,蓑田玲緒奈,安川義行,川上裕人,東田典雅,末光功治/AI・データサイエンス論文集6巻3号p509-520/「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)」/2025年

 これまでの連載で取り上げてきたように、損傷や災害などの異常を検知/予測したり、都市の分析や人の行動を認識したりするAIなど、さまざまな土木に特化したバーティカルAIが実装されてきています。下図はその一例として、土の性質を表す「粒径加積曲線」を画像から求めるAIです。

粒径加積曲線を画像から求めるAI
粒径加積曲線を画像から求めるAI 出典:※3

※3 「学習済のVision Transformerとニューラルネットワークを用いた粒径加積曲線の推定」佐藤公洋,森篤史,箱石健太,一言正之/AI・データサイエンス論文集6巻3号p220-231/「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)」/2025年

 実際のところ、ChatGPTなどの「基盤モデル」と呼ばれるAIが登場するまでのAIは、基本的に特定の問題を解くためのバーティカルAIだったと言えます。基盤モデルが登場すると、特定の問題に限らず、言語指示で一般的な会話や画像生成が可能となりました。

 幅広く一般的な問題が扱える基盤モデルが“ホリゾンタル(水平的)”とすると、各分野特有のデータや専門知を持つAIは“バーティカル(垂直的)”と捉えられるようになりました。具体的な現場や業務に結びついたバーティカルAIによって、経験や知識を集積することで、日本の強みを引き出していけるものと期待されます。

 下図は、マルチモーダルAIを用いて、図面から橋の3Dモデルの矛盾点を自動修正しながら構築するAIです。

マルチモーダルAIを用いた図面からの3Dモデル構築
マルチモーダルAIを用いた図面からの3Dモデル構築 出典:※4

※4 「Vision Language Model による生成結果の再帰的修正に基づく橋梁図面からの3次元モデル構築」谷口慶太郎,山根達郎/AI・データサイエンス論文集7巻1号p349-357/「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)」/2026年

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