万博の大屋根リングを浮かび上がらせた「新しい夜」 照明設計の舞台裏:IES Illumination Awards(3/3 ページ)
北米照明学会が主催する「IES Illumination Awards」で2026年8月、万博の大屋根リングが屋外照明デザイン部門の「Award of Excellence」を受賞した。この他、パナソニック エレクトリックワークスが照明計画に携わった3件が「Award of Merit」に選ばれた。照明計画を手掛けたパナソニック エレクトリックワークスの担当者に、設計の狙いや実現までの工夫を聞いた。
SMCの研究開発拠点、設計変更から生まれた特注照明
4件目の受賞プロジェクトは、千葉県柏市の柏の葉スマートシティーに完成した「SMC Japan Technical Center Bldg.A」だ。パナソニック エレクトリックワークスとKAJIMA DESIGNが連名で「Award of Merit」を受賞した。
SMC Japan Technical Centerは、自動制御機器メーカーのSMCが整備した研究開発拠点で、研究所とオフィスの機能を備える。延べ床面積は9万788平方メートル。設計はKAJIMA DESIGN、施工は鹿島建設が担当し、2026年3月に開業した。
5階建てのBldg.A、Bldg.B、Bldg.Cの3棟で構成。シームレスに空間がつながる空間で、人を建物の奥へと誘導するように工夫した照明計画と特注デザインのペンダントライトが特徴だ。
柏の葉キャンパス駅に近いBldg.Aは、センターの玄関口となる建物だ。エントランスホールからアトリウムにかけて、3層、4層、2層、5層と高さの異なる吹き抜けが連続する。
照明計画を担当したパナソニック エレクトリックワークス ライティング事業部 エンジニアリングセンター 照明環境デザイン部 東部建築環境デザイン課 北村寛氏は「計画がある程度進んだ段階で設計の見直しがあり、空間を生かした照明計画ができないかと相談を持ち掛けられた。建築側で変更できる範囲や予算には制約があり、変更を最小限に抑えながら実現できる案として、特注のペンダント照明を提案した」と振り返る。
特注照明を建物の「アイコン」に
特注デザインのペンダントライトはBldg.Aの吹き抜けに設けた打ち合わせスペースに配置した。下向きの光で机上面の明るさを確保し、乳白色のセードと反射板から出る柔らかな光で吹き抜けに明るさを与える。光源の位置を下げることで出力を抑え、消費電力を抑えた。
ペンダント照明はエントランスのガラス越しに建物の外からも見え、Bldg.Aの「アイコン」となる照明として計画した。試作品で形状を確認しながらシミュレーションによって光の広がり方や見え方を検討した。
作業に必要な明るさを確保する「タスク照明」と、空間全体の明るさ感をつくる「アンビエント照明」を組み合わせて配置する「タスクアンビエント照明」の方式を採用した。タスクアンビエント照明はオフィスで使われることが多いが、Bldg.Aでは省エネ効果を狙って共用部にも展開した。
また、延長約100メートルに及ぶ建物に、壁や曲線状の内装に沿って水平の間接照明を配置した。高さの異なる吹き抜けを光でつなぎ、奥へ続く動線を示すとともに、空間に統一感を持たせた。
さらに、照明制御システムを導入し、スケジュールに応じて明るさを調整することで、省エネルギー化を図っている。
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