三菱電機ビルがAWS基盤の危険予知アプリを自社開発 AI添削で「KY活動の形骸化」解消:安全衛生
三菱電機ビルソリューションズは、昇降機の作業現場での労災防止を目的に、AWS基盤の危険予知活動支援アプリ「KY-Support」を開発し、2026年4月から順次全社へ導入する。生成AIが過去事例を基にリスクを提示し、作業内容に応じた対策を音声入力するとリアルタイムでチェックされるなど、「リスクの個人差」や「KY活動の形骸化」といったKY活動の問題点が解消される。
三菱電機ビルソリューションズは、昇降機(エレベーター/エスカレーター)の保守工事で労働災害を根絶するため、生成AIを活用した危険予知活動(KY活動)支援アプリケーション「KY-Support」を開発した。2026年4月から順次全社へ導入し、ベテランのノウハウ継承と若手の教育不足という、建設設備業界の課題をテクノロジーで解決に導く。
「Amazon Bedrock」を中核とした高度な安全支援
アプリは、三菱電機がAmazon Web Services(AWS)との戦略的協業で構築した「生成AIを活用した現場作業支援技術」をベースに構築した。AWSのAI基盤「Amazon Bedrock」を用い、長年蓄積してきた膨大な作業マニュアルや過去の労働災害事例を学習データとして活用した。
そのため、現場作業員が特定の工種や機種情報を入力するだけで、AIがその作業に潜むリスクを10分類で提示。個人の経験値や知識の差によって生じていた「リスクの見落とし」をシステム側で補完する。
また、「KY活動の形骸化」を防ぐため、厚生労働省も推奨する「KYT基礎4ラウンド法(4R-KYT)」に準拠した現状把握、本質追究、対策樹立、目標設定の4段階プロセスを実装。音声などで行動目標(例:〜する際は〜をして〜しよう)を入力するとAIがリアルタイムで添削する他、最後の確認では指差し呼称のように「ヨシ!」ボタンをタップしながら発声する必要があるなど、作業者自身が主体的に操作し、安全意識を高める仕組みとした。
現場重視のUIで、トライアルでは現場で高評価9割
過酷な現場環境を想定し、UI(ユーザーインタフェース)はスマートフォンの片手操作に特化。音声入力やタップ中心の直感的な操作性を実現し、作業負荷を最小限に抑えた。 トライアル検証では、AIによる潜在的リスクの網羅率が9割を超える高い実効性を確認した。利用者へのアンケートでも、9割以上が「安全意識が向上した」「AIのアドバイスが役立つ」と回答し、現場に受け入れられたことが分かる。
三菱電機ビルソリューションズは今後、KY-Supportの対象範囲を空調冷熱や他のビル設備のメンテナンスにも拡大する方針だ。
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