三菱電機と燈が「フィジカルAI」“爆速”で事業化へ 現場の暗黙知をAIで代替:AI(1/2 ページ)
三菱電機とAIスタートアップの燈は、フィジカルAIの実装加速に向けた協業戦略を発表した。既に3工場でPoCが進行しており、三菱電機 執行役社長 漆間啓氏は「燈の行動指針にも掲げられている『爆速』のスピード感で、遅くとも6カ月以内に具体的な事業化、実用化を目指す」と明かした。
三菱電機と東京大学発AIスタートアップの燈(あかり)は2026年3月17日、都内で協業に関する戦略発表会を開き、AIで産業機器などを制御する「フィジカルAI」を軸とした今後の展開について明かした。既に3工場でPoC(概念実証)が進行しており、AIの提案により自律走行搬送ロボット(AMR)の稼働率を5割改善する成果も見られている。今後、6カ月以内の製品化と顧客提案を目指す。
三菱電機は2026年1月28日、燈に対し50億円を出資し、協業に関する契約を締結した。会見では、取り組みの背景や両社が目指す事業連携の概要などを両社の代表が語った。
現場の「暗黙知」をAI化し、自律的に現場を動かせるフィジカルAIを実現へ
三菱電機は2024年5月、デジタル基盤「Serendie(セレンディ)」を発表し、機器の稼働データの収集/蓄積を推進してきた。2025年9月にはOT(制御技術)領域のサイバーセキュリティを強化するためNozomi Networksを買収。2026年1月、AI領域の強化を目的に燈へ出資した。また、2026年1月、社内のAI人材を統合した新組織「Advanced AI Center(XC)」を設立し、社内外でAIの事業化を加速させている。
三菱電機 執行役社長 漆間啓氏は、「燈は2021年の創業以来、建設業界という特定の市場に絞ってAI化を推進し、スタートアップでありながら黒字決算を続けている。野呂社長から次は製造業に挑戦したいと聞き、当社の知見と掛け合わせることでウィンウィンの関係が築けると考えた」と協業の意図を説明した。
三菱電機は電力や交通、プラントなど幅広い現場で培ってきた維持管理や問題対処法のノウハウを蓄積している。一方で、フィジカルAIの実現には、サイロ化による「データの壁」、人が介在する工程のノウハウがデータ化されていない「自動化の壁」、複数のロボットや人が混在する環境下での「安全行動の壁」の3つの壁が存在する。
これらの課題に対し、三菱電機はデータ基盤SerendieとAI技術を組み合わせることで現場の「暗黙知」をAI化し、現場の変化に柔軟に対応しながら安全に稼働するフィジカルAIの実現を目指している。
三菱電機は社内でサイロ化していたAI開発機能を新組織XCに統合。今後はXCが自ら開発を主導しながら、燈との共同開発や業務委託など複数の形態で連携を進めていく。
漆間氏は「燈の魅力の1つが、行動指針にも掲げられている『爆速』のスピード感にある。既に当社の現場には燈のメンバーが参画し、PoCを開始している。遅くとも6カ月以内に具体的な事業化、実用化を実現したい」と決意を表明した。
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