イトーキ、3種のAIエージェントがオフィス投資判断支援 2026年夏から順次展開:FM(2/2 ページ)
イトーキはAIを経営の中核に据える「AI経営モデル」への転換を掲げ、3つの新たなAIエージェントを軸に、顧客企業が自ら高度なオフィス投資判断と働き方のハイサイクル化を実行できる仕組みを構築する。
非構造データ解析でROIまで算出する「Workplace Insight AI」
Workplace Insight AIは、図面や写真、アンケート、経営資料などの非構造データを含む多様な情報を一括で解析し、オフィスの課題や改善ポイントを構造的に抽出する。類似事例との比較や改善による効果予測、ROI(投資対効果)の試算までを自動化。経営層や総務部門に対し、実効性の高い判断材料を提供する。
八木氏は、「これまで専門家が担っていたオフィス最適化の提案を、施設管理担当者が自らできるようにするのが狙いだ」と説明。AIが定量/定性データを統合分析して「ありたい姿」とのギャップを可視化し、担当者は提示された改善案に対し、「なぜ必要なのか」という根拠の確認や、「限られた予算内で優先すべき施策は何か」といった具体的な相談をチャット形式で繰り返すことが可能だ。八木氏は「担当者自身が専門的な知見を深めながら、根拠に基づいて意思決定を進められる“伴走型”の仕組みだ」と強調した。
空間利用をリアルタイム最適化する「Space Matching AI」
Space Matching AIは、在席情報や行動傾向、利用履歴を基に、空席や利用可能スペースをリアルタイムで判定して利用者に案内する。予約されているにもかかわらず使用されていない場所をセンサーで検知し、自動的に予約を解放。需要に応じて再配分を行うことで、会議室不足や席探しのストレス軽減、空間稼働率向上を図る。さらに、利用者の前後の予定や参加メンバーの状況、必要な備品なども考慮し、最適なリソースを提案する。
八木氏は、「フリーアドレスの普及により、会議室だけでなく座席やモニターなどの備品まで予約対象が広がり、リソース不足が課題となっている」と指摘。物理空間とデジタルデータを連動させることで、「AIが未使用予約を即時に解放し、必要な人に瞬時に割り当てる。働く人が予約作業に費やしていた負担を減らし、本来の業務に集中できる環境を実現したい」と、従業員の体験価値向上と効率化の両立ができる仕組みだと語った。
AIソリューション群は課題に応じて個別導入も可能。開発段階から実証を重視し、30件超のPoC(概念実証)を経て構築した。
Facility Portfolio AIとWorkplace Insight AIは2026年7〜9月ごろ、Space Matching AIは2026年10〜12月ごろのローンチを予定している。
無限ループ型のAI進化モデルで価値創出を加速
発表会では、AIを経営の中核に据える考え方として、社内外の活用を循環させる「無限ループ型のAI進化モデル」も提示された。社内活用で得た知見をサービスに即座に反映し、顧客企業での活用成果を再び自社の開発へ取り込むことで、サービスの継続的な高度化を図る。AIを軸に「顧客の働き方改革」と「自社の働き方改革」を連動させ、価値創出を加速させる構想だ。
現在、イトーキでは基幹業務や生産、デザイン、営業活動に至るまで、多様な領域でAI活用を進めている。湊氏は「AIの普及で営業やデザイナーが不要になるわけではない。各社に合わせた提案には人間にしか分からない領域があり、それこそがイトーキの付加価値だ」と説明した。
また、「特許取得/出願のうち約24%がAI関連で、件数は50件を超える。自社開発の積み重ねは将来必ず強みになる」と述べ、AIを軸に競争力を強化する方針を打ち出した。
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