データセンターを蓄電システム搭載の“コンテナ化”、稼働までわずか1年:データセンター
パワーエックスは、AIデータセンターの需要増に応えるべく、サーバ、電源、冷却装置に加え、大容量の蓄電システムも一体化したコンテナ型データセンター「Mega Power DC」を開発した。10フィートサイズのコンテナのため、建物型に比べ工期とコストを大幅に抑え、都心の未利用地にも設置できる。最大160基までAIコンピュータの搭載やコンテナ連結で巨大データセンター並みの規模にする柔軟な拡張性も有する。今後は、パートナーとともに市場検証を進め、2027年からの量産開始を目指す。
蓄電池ベンチャーのパワーエックスは2026年2月13日、蓄電システムの開発と製造で培った技術を応用し、コンテナデータセンター「Mega Power DC」を新たに商品化したと発表した。
DC導入コストを約25%低減し、約1年で運転開始が可能
生成AIの急速な普及に伴い、日本国内でも演算需要が爆発的に拡大している。一方で、電力系統の空き容量不足や建設期間の長期化といった制約から、国内のAIデータセンターの整備状況は米国に大きく後れを取っており、インフラの拡充が急務となっている。
こうした背景を踏まえ、パワーエックスは大型蓄電システムの開発と製造を通じて蓄積してきたコンテナ設計や直流制御、冷却技術、量産体制がデータセンター構築にも応用できる点に着目し、コンテナデータセンターの商品化を決定した。
Mega Power DCは、10フィートコンテナを筐体に採用し、GPUなどの演算装置を実装する業界標準42Uラックを最大6基まで収容できる。加えて、オプションでリン酸鉄リチウムイオン電池セルを用いた最大800キロワット時(kWh)の蓄電システムを組み合わせ、BCP電源としての機能だけでなく、電力制約のある場所での利用にも対応する。
Mega Power DCを紹介するパワーエックス CEO 伊藤正裕氏。プロトタイプモデルとして、左側にはNVIDIA H200 GPUを16枚、右側には800kWhの水冷型蓄電池を挿入 出典:「Mega Power DC」オンライン製品発表会
建物型データセンターとは異なり、建築物に該当しないため、建築確認申請や不動産登記も要らず、大規模な建築工事を必要としない。そのため、短工期かつ低コストでの導入が実現する。パワーエックスの試算では、大型データセンタの建設であれば、運転維持や監視のOPEXも含めた5年評価のコストが平均24億7000万円のところ、Mega Power DCは17億7000万円で済み、導入コストを約25%低減できるとする。
GPUやCPU、配線装置などの機器構成も、顧客の要件に応じて設計し、指定の部材を基に製品として組み上げ、工場から出荷する。そのため、運転開始までの準備期間は、建物型が約4〜5年かかるのに対し、約1年程度で完了するという。
さらに、コンテナを採用したパッケージングで、大型発電所や蓄電所、再エネ発電所への併設など、限られた敷地にも配置可能で、1台から複数台の連結までニーズに応じた規模の拡張にも応じる。仮に125台のコンテナをつなぎ合わせれば、25MWクラスのハイパースケールデータセンターと同等の処理能力になるという。

左が大型変電所に併設したイメージ。右が高架下など都会のエッジ拠点への併設イメージ。自動運転やロボットを用いたフィジカルAIなど、都会の中にデータセンターを求めるニーズにも対応 出典:「Mega Power DC」オンライン製品発表会2027年の量産開始に向け、パワーエックスでは事業パートナーの募集も開始する。既にインターネットイニシアティブとは、大型蓄電システムとコンテナデータセンターの活用による電力/デジタルインフラの構築と拡大を目指した協業検討の覚書を締結している。
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