超高層ビル現場で躯体工事段階からStarlink導入、新ネットワーク構築手法を採用:産業動向
古野電気は、大阪市の超高層ビル現場に、建設現場向けWi-Fiシステム「ゼンゲンバLANシリーズ」と「スターリンク屋外用キット」を導入し、従来困難とされていた躯体工事段階でのStarlinkの活用を実現した。
古野電気は2026年2月20日、大阪市の超高層ビル現場「パークタワー大阪堂島浜」に、建設現場向けWi-Fiシステム「ゼンゲンバLANシリーズ」および「スターリンク屋外用キット」を導入したと発表した。
従来、運用不可が高く困難とされていた躯体工事段階でのStarlink活用を実現し、新たなネットワーク構築手法の有効性を確認した。
Starlinkは衛星通信の特性上、一般的に、ビル現場では屋上にアンテナを設置して運用する。躯体工事の進捗に合わせてアンテナをより高い階へ逐次移設する必要があり、運用負荷が大きかった。
古野電気は今回、アンテナを特定階のベランダに固定して設置し、建屋内へネットワーク回線を引き込む構造を採用。躯体工事段階で課題となっていたアンテナ移設を不要とした。
スターリンク屋外用キットは、「Starlink Business」の標準ルーターやイーサネットアダプターなどの機器一式を、防水/防塵(じん)仕様の筐体に収めた屋外対応モデル。屋外利用が認められていない5.2GHz/5.3GHz帯のWi-Fiを停波することで電波法に適合し、建設現場などの屋外環境でも安定した通信を確保する。アンテナは単管パイプへ直接固定可能な構造を採用しており、足場や仮設設備への設置にも対応できる。
「パークタワー大阪堂島浜」は、三井不動産レジデンシャルが手掛ける複合開発「(仮称)大阪市北区堂島浜二丁目計画」の一環として進められている。地下1階/地上40階建てで、高さ161.85メートル。清水建設が設計/施工を担当する。
古野電気は今後も、高層建築現場向けのネットワーク構築の取り組みを強化する。またスターリンクを活用した安定した通信環境の提供に加え、各種ICTデバイスとの連携を通じて、建設/防災領域のDXの加速を図る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
i-Construction 2.0:能登半島地震復旧工事で500km先からバックホウ遠隔施工、前田建設が実証
前田建設工業は、能登半島地震の復旧工事でバックホウを使用した遠隔施工の実証を行った。約500キロ離れた茨城県取手市の「ICI総合センター」から、基本的な操作を問題なく実施できることを確認した
通信環境:ソフトバンク、10分で設営可能な“サッと使える”衛星通信サービス 前田建設の現場で導入
ソフトバンクは、10分で設営できる衛星通信サービス「SatPack」を2026年1月中旬から提供開始する。建設現場や山間部、被災地など通信インフラが十分でない場所でも、半径約300メートルのWi-Fiエリアを即座に構築できる。前田建設工業の工事現場で先行導入し、高低差を含むエリアでの運用性や通信品質の有用性を確認した。
スマートメンテナンス:非地上系ネットワーク活用でダム管理を高度化、リアルタイムで遠隔監視
NTTドコモビジネス、ミライト・ワン、国際航業の3社は、非地上系ネットワークを活用したダム管理DX手法の開発実証を石川県珠洲市の小屋ダムで実施した。
ドローン:都心の高層ビル屋上でAIドローンの遠隔自動飛行実証、災害時の活用目指す
三井不動産とKDDIスマートドローンは、日本橋三井タワー屋上で大規模災害時を想定したAIドローンの遠隔自動飛行実証を実施した。屋上からの自動離着陸と上空からの広域映像の自動撮影により、災害時に日本橋周辺の状況把握に活用できるかを検証した。
ドローン:ズーム機能付きドローンで1.6km先の対岸を確認 東京港埠頭でNTT Comが実証
NTTコミュニケーションズは、東京港埠頭でズーム機能付きドローン「Skydio X10」と専用ドローンポート、衛星通信「Starlink Business」を用い、海上を渡ることなく1.6キロ先の対岸を把握できることを確認した。災害時に、対岸状況を高精細な映像でリアルタイムにモニタリングが可能になる。
i-Construction 2.0:アクティオが「建機遠隔化」をレンタル開始する狙い 鹿児島〜東京間をStarlinkで操縦成功
アクティオは、小型建機を遠隔操作する独自システムを開発した。実証実験では、衛星通信のStarlinkと各種カメラも含むジザイエの映像伝送技術で、鹿児島姶良工場と東京本社の約956キロをつないだ。能登半島地震などの突発的な復旧工事で短期レンタルの需要増に伴い、既に能登や福島で問い合わせがあり、狭小空間の工事向けにも建機遠隔化システム一式のレンタルや特注対応で提案する。

