非地上系ネットワーク活用でダム管理を高度化、リアルタイムで遠隔監視:スマートメンテナンス
NTTドコモビジネス、ミライト・ワン、国際航業の3社は、非地上系ネットワークを活用したダム管理DX手法の開発実証を石川県珠洲市の小屋ダムで実施した。
NTTドコモビジネス、ミライト・ワン、国際航業の3社は2025年11月25日、石川県が管理する珠洲市の「小屋ダム」で、非地上系ネットワーク(NTN)を用いた遠隔点検の開発実証を行ったと発表した。将来の「空飛ぶ通信基地局」(HAPS/High Altitude Platform Station)の活用を想定し、アクセス困難なダム施設の点検や平常時の維持管理を高度化/省人化するソリューションを開発する。
HAPSとは地上から約20キロの成層圏に滞空する無人航空機などを利用して広域に無線通信サービスを提供するシステムを指す。実証は、山間部や災害時でもつながるHAPSや衛星通信などのNTNを用いたソリューションの開発を目指す取り組み。
実証では、NTTドコモビジネスが衛星通信「Starlink Business」の提供と「Skydio 2+ドローン」によるダムの遠隔監視を担い、ミライト・ワンは「自営無線 Wi-Fi HaLow」の構築に加え人物検知AIカメラを提供。国際航業はGNSS自動変位計測サービス「shamen-net」による変位監視と、ドローン取得画像のAI判読を担当した。
shamen-netには最高約1〜2ミリの変位を24時間365日遠隔監視する高精度なGNSS解析技術が採用されている。災害時でも通信が途切れにくいNTNとの組み合わせにより、ダム堤体の変位や貯水池周辺設備のひび割れなどを遠隔点検するダム管理DX手法の有効性を確立した。
実証は、NTTドコモグループと石川県が2024年11月26日に締結した「災害からの復興・地域活性のための包括連携協定」に基づく「能登HAPSパートナープログラム」の一環として実施した。
3社は今後、実証で確立したダムDX管理手法に加え、地上からのセンシングとしての監視カメラや宇宙からのセンシングとしてのSAR(合成開口レーダ)衛星を組み合わせた、次世代通信を活用するインフラモニタリングサービスのパッケージ化を予定している。
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