奥村組は2026年1年20日、既存RC構造物の補強工事において、「あと施工アンカー」を使用した天井の増厚工法の削孔作業を効率化する「天井用削孔装置」を開発したと発表した。コンクリート試験体を使用した性能確認試験では、位置と深さが人力施工と同等の精度を確保しながら、省力化、効率化できると実証した。
奥村組が開発した自動削孔装置は、従来は電動ハンマードリルを使用し、人手で行っていたアンカー筋挿入孔の削孔作業を自動化する。奥村組は既に側壁用削孔装置を現場適用しているが、今回新たに天井用の装置を開発した。
天井用削孔装置は、電動ハンマードリルや集じん機、レーザー墨出し器、制御盤、コンプレッサーなどを一体化した装置。最大削孔径は25ミリ程度、削孔長は400ミリ程度で、径が小さく比較的浅い挿入孔に地王する。電動ハンマードリルの稼働ストロークは昇降/前後/左右方向に各最大600ミリ。装置に治具を積み重ねることで0.1メートルピッチで最大0.5メートルまでかさ上げ可能。天井高2.0〜3.0メートル程度の施工に対応できる。
位置合わせには装置に搭載した2台のレーザー墨出し器を使用。レーザーの交点が削孔ビットの中心に合致する。前後/左右への移動はペンダントスイッチで操作。移動後は、設定した計画に応じて自動的に削孔を実施し、深さや数量、削孔時間などの施工結果データを記録する。
削孔中にビットが構造物内の鉄筋などに接触した場合は、速度変化を検知して自動停止し、損傷を最小限に抑える。削孔中に発生する粉じんは集じん機で吸引し、飛散を防止する。
奥村組は今後、既存RC構造物補強工事の生産性を向上させる技術として、新装置の適用を積極的に提案していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
AI:AIで削孔精度55%向上 五洋建設とライト工業が曲がり削孔ガイダンスシステム開発
五洋建設とライト工業は共同で、既設構造物直下の液状化対策工法「曲がり削孔式浸透固化処理工法」に関して、AIを活用した削孔操作支援技術「曲がり削孔AIガイダンスシステム」を開発した。実証実験の結果、経験の浅いオペレーターの削孔精度を約55%向上、削孔作業時間を約20%削減。熟練オペレーターと同等の施工が可能とした。
“土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(37):i-Con2.0実現にはAI活用が不可欠 3つのオートメーション化を加速させるAI【土木×AI第37回】
国交省が進める「i-Construction 2.0」でも、AI活用が建設業の生産性向上を実現するための重要な要素技術となっています。今回は、i-Construction 2.0で標ぼうする3つの“オートメーション化”で、AIがもたらす可能性について土木学会の論文を引用しながら考察します。
i-Construction 2.0:杭工事の支持層到達を遠隔確認、鴻池組らが「杭打キングα」開発
鴻池組ときんそくは、2020年に開発した杭施工精度管理システム「杭打キングPLUS」の拡張機能として、支持層到達を遠隔地からリアルタイムに確認できる「杭打キングα」を共同開発した。
i-Construction 2.0:新笹子トンネル工事に「OTISM/TUNNELING」の技術を集約、大林組
大林組は2025年11月26日、山岳トンネル工事の安全性と生産性を向上させる統合システム「OTISM/TUNNELING」を、R4国道20号新笹子トンネルその1工事に実装したと発表した。
導入事例:発破パターンと装薬量を自動算出するシステムを導入、前田建設工業
前田建設工業は、福井県大野市で施工中の「東市布トンネル工事」で、発破パターンと装薬量を自動算出する「発破パターン作成支援システム」を導入した。余掘り厚さが平均約7センチ、余掘り量が約40%低減した。
山岳トンネル工事:戸田建設が爆薬装填ロボット「To-RIGGER」を開発 装薬孔へ自動挿入、切羽無人化を推進
戸田建設は、UP設計コンサルタント、HCI、虎乃門建設機械の協力のもと、山岳トンネル工事の切羽作業無人化に寄与する爆薬装填ロボット「To-RIGGER」を開発した。



