杭工事の支持層到達を遠隔確認、鴻池組らが「杭打キングα」開発:i-Construction 2.0
鴻池組ときんそくは、2020年に開発した杭施工精度管理システム「杭打キングPLUS」の拡張機能として、支持層到達を遠隔地からリアルタイムに確認できる「杭打キングα」を共同開発した。
鴻池組は2025年12月2日、きんそくと共同で、杭工事において支持層への到達状況を遠隔地からリアルタイムに確認できる新たな管理システム「杭打キングα」を開発したと発表した。
杭打キングαは、鴻池組ときんそくが2020年に開発した「杭打キングPLUS」の拡張機能。トータルステーションによる削孔深度の自動計測、クランプメータによる電流値測定、機械振動の常時計測/可視化の3つの技術を組み合わせることで、支持層への到達を遠隔から確認可能とした。
削孔深度の計測では、杭打機のオーガ駆動装置に取り付けたプリズムをトータルステーションで追尾し、削孔深度を自動計測する。削孔長の施工記録の保存/帳票化も可能だ。
電流値の計測では、発電機に設置したクランプメータからオーガ駆動装置に流れる電流値を測定し、削孔深度計測とあわせて積分電流値を算出。積分電流値とボーリング調査によるN値を比較することで、支持層への到達を確認する。
さらに、オーガ駆動装置に取り付けたプリズムの水平変位を常時計測することで、削孔中の機械振動を測定。従来は確認者の感覚的な判断に頼っていた機械振動を定量化し、地中障害物の有無や地層の変化なども把握できる。
取得したデータはシステムPCからインターネット経由で転送し、機械操縦者や作業主任者、施工者、監理者などの工事関係者が遠隔地からリアルタイムに支持層到達状況を確認できる。
計測データはCSV形式で出力可能で、施工管理に必要な帳票化も自動で行える。データ整理や帳票作成かかる工数の削減を実現し、統合型管理装置などが故障した際のバックアップ機能としても活用可能だ。
鴻池組は今後、杭打キングαを全国の杭施工現場へ導入し、既存の杭打キングPLUSとの連携によって杭施工管理の生産性向上を図る。
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