AIがZEB化計画を最適化、投資効果の最大化を支援 清水建設が施設の脱炭素コンサル開始:導入事例
清水建設は、AIを活用して建設コストと省エネ性能を同時に評価し、最適なZEB化計画を立案する「脱炭素コンサルティング事業」を開始する。
清水建設は2025年12月18日、AIを活用して建設コストと省エネ性能を同時に評価し、顧客最適なZEB化計画を立案する「脱炭素コンサルティング事業」を展開すると発表した。期間は約3カ月で、費用は延べ床面積1万平方メートル当たり500万円程度から。
事業の開始に当たって、設計時にZEB提案を担う自社開発のAI「ZEB SEEKER(ゼブ シーカー)」に、コスト検討機能を搭載した。ZEB SEEKERは数万の設計案を自動探索して最適なZEB仕様を導き出す機能を備えたAIで、一般に普及している技術を網羅的に扱える他、各設備機器性能のメーカー値をデータベース化し、実用性を高めている。
新開発のコスト検討機能は、エネルギー関連機器や建材、施工に関する1000項目に及ぶコストデータベースを基に概算コストを算出。データベースの適時更新により、物価変動に対応する。
脱炭素コンサルティングでは、顧客保有施設のエネルギーデータを分析し、建て替えや改修で省エネ効果が期待できる施設を抽出/選定する。確定後には事業特性を踏まえ、ガラス種別や空調方式など省エネ性能に影響する最大70種類の可変要素の仕様についてニーズをヒアリングし、5段階で評価する。最終的に、対象施設の3Dモデルを構築した上で、ヒアリング結果をZEB SEEKERに入力すると、2〜3日のうちに、数万の設計案から、目標の省エネ性能、顧客予算、事業特性を最も満足する設計案を提案。顧客の投資対効果の最大化を図る。
ZEB SEEKERを活用した脱炭素コンサルティングは、京葉銀行が導入し、支店のZEB化に向けた投資判断の材料として活用している。
清水建設は引き続き、アジャイル開発によりZEB SEEKERをブラッシュアップし、脱炭素コンサルティングを積極展開していく考えだ。
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