ダンプの運行データを一元化、土運搬の最適化を支援 鴻池組とNCSが「ダンプラス」共同開発:製品動向
鴻池組は、日本コンピュータシステムと共同で、ダンプカー運行のデータを一元管理する「DUMPLUS」を開発した。
鴻池組は2025年12月9日、日本コンピュータシステム(NCS)と共同で、ダンプカーのデータマネジメントシステム「DUMPLUS(ダンプラス)」を開発したと発表した。運搬物や走行/位置情報を集約し、データを基に最適な運搬計画を自動提案することで、現場の業務効率向上を支援する。
DUMPLUSの導入により、効率的な車両配車計画や工程見直しが可能となり、現場業務の簡素化と管理者の負担軽減につなげる。また、土運搬計画の立案支援、稼働状況の可視化、予実管理などの機能を備えており、現場全体の生産性向上と資産効率の最大化を支援する。これらの機能により、従来は熟練者の「経験と勘」に頼っていた運行管理を、「データと戦略」に基づく判断へと転換する。
AIが運搬計画を自動提案、安全運転の確認にも活用
新システムにはAIを活用した運搬計画提案機能を搭載し、天候や現場条件などの外部データを分析して最適なダンプカー運搬計画を自動で立案する。経験の浅い管理者の支援にも活用できる。
稼働率、走行速度、待機時間といった詳細な稼働データを可視化することで、リアルタイムな工程改善、土運搬作業と付随業務の効率化が可能となり、作業全体の抜本的な改善につながる。走行ルートや速度超過箇所も地図上に表示でき、安全運転の確認や改善にも活用できる。
鴻池組の社内現場で2025年12月から試験運用を開始し、実際の建設プロジェクトにおける運用データの蓄積と検証を進めている。今後もシステムの機能向上と操作性の改善を図り、より実用性の高いシステムへと進化させる方針だ。2026年からは外部販売を開始する計画。
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