建設現場で外国人材との「伝達格差」を解消する3施策、さくら事務所:産業動向
建設業の外国籍就労者は、マンション修繕の現場でも外国籍スタッフが不可欠な存在となっている。しかし、言語や文化の違いから生じる「伝達格差」が顕在化しており、現場を動かす“伝わる仕組み”が求められている。
さくら事務所は2025年11月18日、多国籍化が急速に進むマンション修繕や管理の現場で、言語や文化の違いから生じる「伝達格差」が顕在化している状況を示し、品質とコストを両立するための対応策を提示した。建設業の外国籍就労者は過去最多の約18万人に達しており(2023年10月末時点)、マンション修繕の現場でも外国籍スタッフが不可欠な存在だ。
協働時代に求められる コストと品質を守る3つの提言
マンション管理や大規模修繕では、清掃業務だけでなく、塗装、防水など専門性の高い作業にも外国籍スタッフが従事する例が増加している。現場によっては外国籍スタッフが半数近くを占めることもあり、建て替えや修繕を担う企業が外国籍スタッフなしでは人員を確保できない状況となっている。さくら事務所が関わった修繕工事では、「日本人スタッフのみ」という条件に対し、複数の応募企業が対応できなかったという。
現場では、日本語に加えて英語、ベトナム語など複数言語が飛び交い、指示の伝達に時間を要して作業が滞ることがある。また、修繕中に住民が外国語の会話を耳にして不安を抱くケースも指摘されている。文化的背景の違いから、休憩時の姿勢や会話のトーンなど、些細な場面がトラブルの種となることもある。
こうした状況に対し、さくら事務所は現場協働を円滑にするための3つの施策を示した。第1に、掲示や指示文を多言語化し、AI翻訳を活用して情報共有を標準化すること。第2に、図や写真を使った視覚的な指示により、誰でも理解できる形で作業内容を示し、現場責任者の負担を軽減すること。第3に、朝礼や掲示で文化の違いを共有し、「怒らず、遠慮せず、丁寧に伝える」姿勢を浸透させることで、誤解や摩擦を抑えることを挙げる。
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