吊り足場設計の工数を半減する仮設CIMシステム、オフィスケイワンとIHIインフラ建設:CIM
オフィスケイワンとIHIインフラ建設は、橋梁上部工向けのパネル式吊り足場と昇降足場の3次元設計を支援する仮設CIMシステム「CIM-FLOOR」を共同開発した。
オフィスケイワンとIHIインフラ建設(現IHIインフラシステム)は2025年10月30日、橋梁(きょうりょう)上部工向けのパネル式吊(つ)り足場と昇降足場の3次元設計を支援する仮設CIMシステム「CIM-FLOOR」を共同開発したと発表した。橋梁補修や大規模更新工事で増加が見込まれる足場計画の標準化、施工段階の生産性向上を図る。
吊り足場設計の工数を最大50%削減
CIM-FLOORは、橋梁上部工に用いるパネル式吊り足場と昇降足場の計画から詳細設計までを3次元化し、一連の設計作業を自動処理する。設計者向けには積算用の数量算出機能、施工者向けにはパネル割り付けや設計照査機能をそれぞれ搭載し、積算段階から施工段階までデータをシームレスに引き継げる。
複数メーカーのパネル式足場に対応した製品マスターも備え、採用する足場製品を選択した上での割り付け、照査、図面出力ができる。橋梁の線形座標に基づく自動での断面や平面割り付けの他、断面配置後の荷重計算、曲線橋の平面割り付けの機能も実装した。
詳細なパネル割り付け後の3次元モデルや設計計算書、積算用の足場2D図面の出力に対応する。鋼橋CIMシステム「CIM-GIRDER」の入力データも読み込め、上部構造の設計段階で作成した情報を仮設設計に直接反映して前工程との重複作業を避けられる。
開発の背景には、橋梁上部工でのパネル式吊り足場の採用が拡大していることがあった。近年は補修や大規模更新が増加し、仮設設計の属人化や計画ミスによる手戻りが課題となっていた。IHIインフラ建設の橋梁施工実績と、オフィスケイワンのCIM技術、さらに足場メーカーのタカミヤが持つ設計照査のノウハウを組み合わせ、設計精度と設計再現性の向上を図った。
今後は、IHIインフラシステムが受注工事への適用を進めるとともに、オフィスケイワンがパネル式吊り足場製品のデータベース拡充を進め、タカミヤ製品に加えて仮設工業会認定品の登録を進める予定だ。両社は発注者や建設コンサルタント、足場メーカー、橋梁メーカーへの提案活動を強化し、橋梁上部工向け足場計画の標準化と仮設DX(デジタルトランスフォーメーション)の拡大を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
鋼橋の3Dモデル活用で輸送計画業務を効率化、輸送明細システム「Sim-LOAD」を共同開発
オフィスケイワンは、IHIインフラシステム、瀧上工業と共同で、BIM/CIMモデルを活用して輸送計画を効率化するシステム「Sim-LOAD」を開発した。
大林組と共同開発の床版更新向けCIMシステムを一般発売、オフィスケイワン
オフィスケイワンは、大林組と共同開発した床版更新向けCIMシステム「Qa-Slab」を2026年2月2日から一般販売する。
BIM/CIMの歴史と本質を学会論文で振り返る【土木×ICTのBack To The Basic Vol.4】
日本の「BIM元年」となった2009年の「BIM元年」から早16年。現在では設計だけでなく製作や施工、さらに維持管理でのデータ連携が進み、ISO 19650が示すようにBIMのI(属性情報)を建設生産プロセス全体で、どうマネジメントするかが重要となっています。直近では国交省による補助金事業も、2025年度も継続されるなど、国を挙げてBIM/CIMを後押しする動きも本格化しています。そこで今回は、BIM/CIMの歴史を今一度振り返るとともに、土木分野での可能性を解説します。
3.11復旧工事で活躍したCIM、地方建コンの3D導入までの奮闘
ウェブサイトに掲載した記事を印刷しても読みやすいPDF形式の「電子ブックレット」にまとめました。無料のBUILT読者会員に登録することで、ダウンロードできます。今回紹介するのは、福井コンピュータアーキテクト主催のイベント「施工を“見える化“する3次元体感会」で、FCコネクトがICTを活用した現場踏査や起工測量について説明したセミナーです。
生成AIで橋梁上部工のCIMモデル自動生成、Malmeと中央コンサルタンツ
Malmeは中央コンサルタンツとともに、生成AIで橋梁上部工のCIMモデルを自動生成する研究に着手した。実用化すれば、テキストの設計データをもとに、直接3次元モデルを生成できるようになる。
TREND-COREが2025年12月にアップデート、足場や山留の3Dモデル作成が可能に
福井コンピュータは2025年12月16日、BIM/CIMコミュニケーションシステム「TREND-CORE」の最新版をリリースする。新たに足場や山留を3Dモデル化する機能を追加し、2D図では確認できなかった高所や地下の干渉リスクが把握可能になり、手戻り防止につながる。





