ニュース
可搬型木造建物を建設現場の仮設事務所として設置、災害時は応急仮設住宅に転用:災害対応
東急建設は、可搬型木造建物「モクタスキューブ」を建設現場の仮設事務所として設置した。災害時に応急仮設住宅への転用を想定した「社会的備蓄」を増やす取り組みとして実施している。
東急建設は2025年11月4日、自社開発の可搬型木造建物「モクタスキューブ」を建設現場の作業所仮設事務所として設置したと発表した。平時は事務所として活用し、災害時には被災地に応急仮設住宅として供給することを想定している。
モクタスキューブは建築基準法に準拠した木造建物。工場で製作した1ユニット(約15平方メートル)を10トントラックで搬送し、現地で連結して設置する。現地作業を抑え、少人数かつ短期間での設置が可能だ。
第1棟目は2025年8月に東京都内の現場に、2棟目は同年10月末に静岡県内の現場に設置した。都内作業所には3ユニット連結の2階建て構成が採用され、一般木造住宅と同等の耐震性や遮音性、UA値0.6以下の断熱性能を備える。
今回の取り組みは、移動可能な建築を、平常時は地域で利用し、災害時に復興支援施設として活用する「社会的備蓄」を増やすもの。東急建設は、2024年の能登半島地震において復興支援者用宿舎や仮設工房としてモクタスキューブを提供した経験を踏まえ、平時からの備蓄と、備蓄した建物を平時からいかに効率的に活用させるかを検討してきた。自社現場での活用を通じて、防災/減災意識の向上と、地域社会への貢献を推進していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
デジタルファブリケーション:土が主原料の3Dプリンタ住宅が完成、AI活用で完全自動建設目指す Lib Work
Lib Workは、土を主原料とした一般住宅用3Dプリンタ住宅の新モデル「Lib Earth House model B」を熊本県山鹿市に完成させた。2026年1月から受注を開始する。今回の取り組みについて、生成AIによる設計と3Dプリンタによる施工を融合した完全自動住宅建設への第一歩と位置付けている。
Japan Drone 2024:「能登半島地震」のJUIDA活動記録で判明 “災害対応”でのドローンの真価
自然災害の発生後に復旧の切り札の一つとして期待されているドローン。JapanDrone展の主催者・JUIDAの企画ゾーンで紹介された「令和6年能登半島地震の活動報告」からその可能性と課題を探る。
工業化建築:能登半島地震の復旧で、東急建設がユニット住宅20棟を3カ月で設置
東急建設は、能登半島地震の復興支援者用宿舎として、工場で製造して10トントラックで運べる木造住宅を石川県輪島市の能登空港多目的広場に設置した。
xR:三協フロンテアにユニットハウスの3Dモデル構成ツールを提供、伊藤忠テクノソリューションズ
伊藤忠テクノソリューションズは、ユニットハウスの商談を効率化し、顧客満足度の向上につなげる目的で、三協フロンテアにユニットハウスの3Dモデル構成ツールを提供した。
InterAqua 2021:下水処理施設の被災時に使える汚水処理技術、帝人フロンティア
帝人フロンティアは、これまで自動車や化粧品原料などの工場で排水処理に採用されていた排水処理用繊維担体を用いた余剰汚泥削減型の水処理技術を被災した下水処理場での復旧工事期間中に使用可能か検証を進めている。
BIMで建設業界に革命を!10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ(8):【第8回】「産学一体となって日本のBIMを変えてゆこう!」
BIMの技術がどれだけ進歩しても、使うのは「人」である。社内教育も重要だが、BIMを学んだ学生に入社してもらえれば、強力な助っ人になるはず。ところが、日本では海外に比べ、BIMを教えている大学も、手軽にBIMを学べる教育機関も無いという現実から、BIMの学習機会を経験した学生は驚くほど少ない。しかし、徐々にBIMを研究テーマとして扱う大学も出始めており、アカデミックな場でのBIMの議論も進みつつある。大和ハウス工業では、こうした先進的な大学と“産学連携”で手を結び、BIMの可能性を高めるとともに、横のつながりを強めて「人財確保」にもつなげてゆくことを目指している。連載第8回の今回は、海外でのBIM教育などの状況を踏まえ、大和ハウス工業の建設デジタル推進部が、リクルート目的で行っている「BIMインターンシップ」や産学連携について紹介してゆく。
