能登半島地震の復旧で、東急建設がユニット住宅20棟を3カ月で設置:工業化建築
東急建設は、能登半島地震の復興支援者用宿舎として、工場で製造して10トントラックで運べる木造住宅を石川県輪島市の能登空港多目的広場に設置した。
東急建設は2024年7月12日、自社開発の可搬型木造住宅「モクタスキューブ」を能登半島地震の復興支援者用宿舎として、2024年6月30日に石川県輪島市三井町の能登空港多目的広場に20棟設置したと明らかにした。
工業化建築で、応急住宅の要請から3カ月で完成
モクタスキューブは、建築基準法に適合した木造建築物。耐震等級や断熱性能は一般的な木造住宅と同等の基準を満たし、被災時の建設型応急住宅として仮に長期生活となっても、木のぬくもりを感じながら生活を送ることができる。
これまで東急建設は、「moc+\モクタス」ブランドを冠して、建築の木造化/木質化を推進してきた。モクタスキューブは、そこで培った技術やノウハウを生かし、平時には別用途で活用しながら、震災などの有事の際は迅速に被災地へ供給するべく開発した。
2024年1月1日に発生した能登半島地震は、被災地が半島地域のため、被災地への交通アクセスに制約があり、被災により宿泊施設も激減し、被災者の仮設住宅だけでなく、支援者の宿泊場所の確保が喫緊の課題となっていた。
モクタスキューブは、工場で製作した建物を1棟1台の大型トラック(10トン車)で搬送して、現地に設置可能で、作業時間や工程が大幅に短縮される。今回も現地での実働作業時間の約2週間を含め、要請からわずか3カ月で完成したという。
東急建設は、長期経営計画“To zero, from zero.”で、3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災/減災」)を戦略の軸に据えている。その中でモクタスキューブは木造建築物のため、CO2削減効果による「脱炭素」への貢献も期待されており、大規模災害に備える仮設住宅や迅速な供給体制の整備で、「防災/減災」に貢献するとしている。
今後は、平常時の活用用途で、建設業の現場事務所やキャンプ場などに設置する宿泊施設などを想定し、リースや複数企業が相互に協力して事業を展開する「レベニューシェア」といったスキームを用い、事業化を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スマートメンテナンス:“ラズパイ”で河川監視 「Pi-field」に太陽光パネル搭載のミニバージョン
河川などの無人監視などで導入が進む、メカトラックスのラズパイ屋外稼働キット「Pi-field」シリーズに、ミニ太陽光パネルを配置したミニモデルが加わった。ソーラーバッテリーの採用で朝夕の日が高くない時間帯の発電効率を高め、さらなるコンパクト化を実現した。 - 第6回 建設・測量生産性向上展:Starlinkで建設現場を「ネットが当たり前につながる」環境に アクティオの「レンタル+コンサル」製品群
山間部の道路やダム工事、屋内の建築現場では、十分な通信を得られないケースが多く、建設現場のデジタル化を妨げる一因となっている。建設機器のレンタルを幅広く手掛けるアクティオは、建設現場の「ネットにつながらない」課題を解決すべく、約5000基もの衛星で日本中をカバーし、「当たり前にネットにつながる」通信環境の提供を開始する。 - 点群:3Dデータ作成は“背負って歩き回るだけ” マップフォーの2wayバックパック端末
マップフォーは、3次元の点群データを取得して3Dモデルを作成できる機器「SEAMS」シリーズに、バックパック型の端末を追加した。 - スマートコンストラクション:トンネル坑内の掘削出来形3D計測システムを大成建設が開発、計測作業2分で完了
大成建設は、山岳トンネル工事で、トンネル坑内の掘削出来形を迅速に把握できる3次元計測システム「T-ファストスキャン」を開発した。計測器設定、3次元計測、機械点測量、撤収といった一連の計測作業が計2分で完了する。 - プロジェクト:黒川紀章の「中銀カプセル」をトレーラーハウスに“リデザイン”、工学院大
工学院大学 建築デザイン学科 教授 鈴木敏彦氏は、黒川紀章氏が設計した“メタボリズム建築”を代表する「中銀カプセルタワー」のカプセルをCLT構造のトレーラーハウスにリデザインした。 - 第8回 JAPAN BUILD TOKYO:元鉄筋職人のCEOが語る「人とロボットが協働する未来の現場」 鉄筋結束ロボット「トモロボ」の誕生秘話
労働力不足が叫ばれる建設業界では、作業効率化に向けた取り組みが進んでいるが、その中でも人に代わって現場作業を行う、いわゆる“建設ロボット”は効果が発揮されやすい。建設作業では、作業の姿勢や強度で人にとっては過酷なものが多い。それをロボットが代替すれば、そ