BIM連携で燃えしろ深さ計算を効率化、中規模木造建築の準耐火構造提案を支援 大林組:木造/木質化
大林組は、木構造の燃えしろ深さ計算をBIMと連携して効率化するツールを開発した。
大林組は2025年10月24日、火災時倒壊防止性能検証法と避難時倒壊防止性能検証法に基づく木構造燃えしろ深さ計算をBIMと連携して行うツール「SynchroMOK(シンクロモック)」を開発したと発表した。
中規模建築物を純木造で設計する場合、火災時に木材が燃えてもすぐに建物が倒壊しないように、木材の表面が炭化する深さ(燃えしろ深さ)を計算する必要がある。燃えしろ深さの計算は、火災時倒壊防止性能検証法と避難時倒壊防止性能検証法に基づく火災継続時間の算定によって行われるが、計算は複雑で、純木造化の障壁となっていた。
SynchroMOKは、大林組のBIM業務標準「Smart BIM Standard」に基づくBIMワンモデルと連携することで、中規模建築物の木造化実現性評価を円滑に行える。
BIMワンモデルと相互連携済みのSmartHAK/SHAREDTIK/SmoothSEKに、SynchroMOKが加わることで、法的審査に必要な情報の抽出がさらに高度かつ効率的に行える。
また、SynchroMOKは、建物の設計情報が入力されたBIMモデルと連携し、構造データを自動抽出することで、燃えしろ深さの計算を効率化する。
歩行距離や歩行速度などの基本的な避難情報を入力すると、必要な構造情報をBIMから自動取得し、燃えしろ深さを短時間で算出できる。5階建て、延べ面積2500平方メートルの建物の場合、4時間弱かかっていた計算が30分程度で完了し、80%以上の省力化が実現する。建築確認申請に使用可能なことはすでに検証済みだという。
大林組は今後、SynchroMOKによる木造化実現性評価の効率化を通じて、中規模建築物の純木造化を推進する。また、自社開発の性能評価ツールとBIMパラメータとの連携を強化し、設計作業の一層の効率化に向けた検討を進めていく。
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