ニュース
大成建設が木質部材用の吊り材接合金物を開発 従来比4〜5倍の耐力で安全に吊り下げ:木造/木質化
大成建設はBXカネシンと共同で、CLTなどの木質部材への重量物の吊り下げを可能とする「木質部材用吊材接合金物」を開発した。
大成建設は2025年8月6日、BXカネシンと共同で、CLT(直交集成板)などの木質部材に空調設備や配管などの重量物を安全に吊(つ)り下げられる「木質部材用吊材接合金物」を開発したと発表した。
新開発の接合金物は本体を台形形状とし、側部の左右2カ所から45度に傾けたビス(斜めビス)を互い違いに打ち込む仕様とした。ビス同士の間隔を従来品よりも短くし、引張抵抗力を従来比4〜5倍に高め、下方から強く引っ張られても変形しにくいのが特徴。金物に作用する荷重を斜めビスの軸方向の引張抵抗力と鉛直方向の曲げ抵抗力に分散でき、地震時の水平方向のせん断力に対しても高い抵抗力を発揮する。
また、木材を主要構造部材に使用した耐火建築物は石こうボードなどによる被覆が必要となるが、新開発の接合金物はビスの長さを調整することで、耐火被覆された木質部材への取り付けが可能。
開発品は、埼玉県幸手市で建設中の大成建設グループ次世代技術研究所の研究管理棟に適用予定だ。今後、木質部材への吊材接合に積極活用し、CO2を長期間固定できる木質部材を多用した環境配慮型建築物の普及を進める。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
木造/木質化:一般流通材で12m大スパンを実現、木造床組「T-WOOD Truss Floor」開発 大成建設
大成建設は、一般に流通している木材だけを使用した木質工法により、長さ12メートルの大スパン構造を実現する大型木造床組ユニット「T-WOOD Truss Floor」を開発した。サーキュラーエコノミー:解体後の構造部材を新築建物にリユース、大林組技術研究所の実験棟「オープンラボ3」第1期完成
東京都清瀬市の大林組技術研究所で、解体建物の構造部材をリユースした実験棟「オープンラボ3」の第1期部分が完成した。木造化/木質化:西松建設の木造ハイブリッド5階建て大学施設など2件が採択、国交省「優良木造建築物事業」先導枠
国土交通省は、2025年度の「優良木造建築物等整備推進事業」先導枠に、西松建設の木造/S造ハイブリッド5階建て大学施設プロジェクトと、三井不動産の上層4層を木造化した11階建て事務所ビルのプロジェクトを採択した。木造/木質化:住友林業、木造混構造6階建て社宅が完成 中大規模集合住宅のモデルケースに
住友林業が設計・施工した平面混構造の6階建て新社宅が、茨城県つくば市に完成した。木造混構造中大規模集合住宅のモデルケースとして位置付け、普及拡大を目指す。プレキャスト:斜杭式桟橋の海上工事期間を50%短縮する「クロスパイルピア工法」開発 鹿島がフルプレキャスト化
鹿島建設は、海上での斜杭式桟橋/ドルフィン(係留施設)の建設において、上部工のフルプレキャスト化を実現する「クロスパイルピア工法」を開発した。一般的な桟橋をモデルケースとした試算では、従来工法と比べ海上工事期間を50%、全体工事期間を15%短縮。現場作業に要する人員が20%削減可能で、建設コストは従来工法と同程度に抑えられることを確認した。木造化/木質化:鹿島が「東北支店ビル」を9階建て木造旗艦ビルに建て替え 木造制震構造採用
鹿島建設は東北支店ビルを、純木質耐火集成材を採用した、地下1階/地上9階建ての本格的な木造建築に建て替える。新開発の木造制震構造「欄間(らんま)制震システム」を採用。2028年度内の竣工を目指す。